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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

報告

補足国連報告書「子どもと武力紛争」を読むと、イスラエル軍のガザ攻撃の異常さが分かる。2023年の世界の紛争で国連が検証した子供死者は5301人だが、うちガザで10月―12月の3か月の死者が2051人を占める。ほとんどがイスラエル軍による人口密集地への空爆によるものだという。これは検証済みだけで国連に報告されたガザの子供の死者総数は約9100人で検証作業が進行中。また過去の年次報告で世界の年間子供死者は2022年2985人、2021年2515人、2020年2674人である。イスラエル軍の3か月のガザ攻撃で世界中の紛争の3年分以上の子供の死者が報告されたことになる。イスラエルは「わが軍は世界で最も道徳的」と言い続けてきた。イスラエルが「人権侵害国」指定されるだけでなく、イスラエルの報復戦争を「自衛権行使」と認めたまま、攻撃を止める実効ある措置を取らなかった米国、英独仏、日本の責任も問われるべきだ。

コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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