補足アジア大会の女子シングルスで日本選手が決勝に進出するのは、1994年広島大会で優勝した小山ちれ以来ですが、小山は中国からの帰化選手でした。何智麗として上海に生まれ、アジア大会で銀メダル、アジア選手権3連覇、世界選手権で金メダルを獲って1989年頃に引退した後、日本人との結婚を機に帰化し、30歳のときに現役の中国選手をごぼう抜きしてアジア大会で優勝した化け物中の化け物選手でした。この小山を除くと、アジア大会に中国が参加を始めた1974年以降、日本選手が決勝のコートに立つのは史上初です。それどころか、決勝のコートに立った中国以外の選手は小山の他には鄭賢淑(韓国)、帖雅娜(香港)の2人しかおらず、その他はすべての大会で中国選手の同士討ちでした。もちろんすべて中国選手が優勝しています。これは、中国がこの大会を最重要に位置づけていることの表れであり、それゆえに早田の活躍は途方もない偉業と言えます。
コメンテータープロフィール
1964年岩手県奥州市生まれ。中学1年から卓球を始め、高校時代に県ベスト8という微妙な戦績を残す。大学時代に卓球ネクラブームの逆風の中「これでもか」というほど卓球に打ち込む。東北大学工学部修士課程修了後、一般企業にて商品設計に従事するも、徐々に卓球への情熱が余り始め、なぜか卓球本の収集を始める。それがきっかけで2004年より専門誌『卓球王国』でコラムの執筆を開始。2018年からフリーとなり、執筆、講演活動に勤しむ。著書『ようこそ卓球地獄へ』『卓球語辞典』他。NHK、日本テレビ、TBS等メディア出演多数。