解説とにかく北朝鮮ペアのプレーが素晴らしかった。五輪本番だから日本ペアが緊張したとか、勝ちを意識したとか、ましてノーシードだったから油断したとかではまったくない。コロナ禍以来、国際大会に出ておらず世界ランクがない状態から予選を勝ち抜いて出場してきた北朝鮮ペア。そもそも北朝鮮は歴史的にも卓球強国であり、これまでも試合から遠ざかっていての突如の大活躍をしたことが度々あった。そんな北朝鮮に油断する選手など卓球界にはいない。しかも女子のキム・クンヨンがラケット片面に貼っている「粒高」という極端に回転量の少ないラバー。トップ選手で使っているのは希だ。対戦相手が分かったとき、キムと同じ左利きのリザーブ選手、松島輝空が粒高ラバーを使って日本ペアの練習相手を務めたが、敵わなかった。おまけに男子のリ・ジョンシクの実力は掛け値なしの本物で、日本ペアは初球から途方もない相手だとわかったはずだ。本当に強かった。
コメンテータープロフィール
1964年岩手県奥州市生まれ。中学1年から卓球を始め、高校時代に県ベスト8という微妙な戦績を残す。大学時代に卓球ネクラブームの逆風の中「これでもか」というほど卓球に打ち込む。東北大学工学部修士課程修了後、一般企業にて商品設計に従事するも、徐々に卓球への情熱が余り始め、なぜか卓球本の収集を始める。それがきっかけで2004年より専門誌『卓球王国』でコラムの執筆を開始。2018年からフリーとなり、執筆、講演活動に勤しむ。著書『ようこそ卓球地獄へ』『卓球語辞典』他。NHK、日本テレビ、TBS等メディア出演多数。
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