補足24年に入り、日産とホンダが急接近して協業を検討し始めた。そのポイントの一つが、日産が保有する三菱自動車株の一部をホンダに売って、そこで得た売却益で日産は、ホンダと日立製作所の合弁部品会社で電子部品などに強い日立アステモに出資するというスキームだった。ホンダは三菱が持つフレームボディ(簡単にいえばトラックを造るノウハウ)の技術が欲しく、日産はアステモに出資するキャッシュが欲しかったため、ホンダと日産の思惑が一致した。さらに日産とホンダが組む狙いは、ホンダ、日産、三菱の三社連合を作り、規模でトヨタグループに対抗することにあった。いわば「非トヨタ連合」の誕生を目論んだというわけ。ただ、ホンダと日産は企業文化が全く違うため、協業を開始するにしても、両社がどこまで歩み寄ることができるかもカギとなるだろう
コメンテータープロフィール
1964年生まれ。88年九州大卒。朝日新聞社の名古屋、東京、大阪の経済部で主に自動車と電機を担当。2004年朝日新聞社を退社。05年大阪市立大学修士課程(ベンチャー論)修了。主な著書は『トヨタ・ショック』(講談社、共編著)、『メイドインジャパン驕りの代償』(NHK出版)、『会社に頼らないで一生働き続ける技術』(プレジデント社)、『自動車会社が消える日』(文春新書)『日産vs.ゴーン 支配と暗闘の20年』(同)。最新刊に経済安全保障について世界の具体的事例や内閣国家安全保障局経済班を新設した日本政府の対応などを示した『中国の「見えない侵略」!サイバースパイが日本を破壊する』(ビジネス社)