この記事だけでは、どこに違法性があったかは不明ですが、この判決は精神科での身体拘束の認識を変えるものになるでしょう。 身体拘束は、精神保健指定医が診察し、それ以外の方法がない環境で、患者さんに①自殺企図または自傷行為が著しく切迫している②多動や不穏が顕著である③精神障害のため,そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶ恐れがある場合において、認められています。 統合失調症の場合は、幻覚や妄想の症状に左右されて、不穏興奮に至り、他患者や病院スタッフに粗暴行為を働いたり、スタッフの指示に全く従えない場合もあり、やむなく身体拘束が必要なケースはあります。 ただ、拘束中はほぼ同じ姿勢なので血栓が出来やすく、エコノミークラス症候群にならないように細心の注意を払います。例えば、拘束中は弾性ストッキングの着用、24時間連続点滴を使用、血液の凝固を阻止する薬剤を継続投与するなどを行います。
コメンテータープロフィール
兵庫県出身。島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動している。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。精神科医としてはうつ病、発達障害、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやツイッター、講演会などでこれらを分かりやすく「ラフな人生をめざすこと」を発信している。
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