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星周一郎

星周一郎認証済み

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東京都立大学法学部教授

報告

見解この案では、危険運転致死傷罪の成立要件を明確化するため、数値基準を入れることが提案されています。明確化の方向は望ましいものですが、過不足のない数値を設定できるか、また、基準ギリギリの事案などで測定結果の正確性をめぐって新たな争点が生ずることがないか、など、慎重な検討が必要となるでしょう。 他方、この案は、現在の危険運転致死傷罪の処罰範囲・処罰根拠については、現在の状況を基本とするものとなっています。そういった観点でみた場合、現在の危険危険運転致死傷罪・過失運転致死傷罪のあり方に関して世間一般の理解が得られていない状況に対して、十分な対応ができているのか、特に、危険運転致死傷罪と認定できなければ、どんなに悪質な運転の結果生じた事故でも、すべて「過失」扱いにする点が適切なのか、さらに踏み込んだ検討が求められるように思います。

コメンテータープロフィール

1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。

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