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韓東賢

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日本映画大学教員(社会学)

報告

記事で明らかになった吉野家の問題点は、まず、名前などから国籍を勝手に判断したことだ。当該の大学生はSNSで自身が「ハーフ」であると明らかにしているが、国籍は名前や見かけその他で外から判断できるものではない。日本国籍者にも様々なルーツや文化的背景を持つ人が数多く存在するにもかかわらず、そのような多様性への認識が欠けている。 次に、外国籍の学生の説明会参加を断っているという事実だ。端的に国籍差別である。内定後に就労ビザを取得できず内定を取り消す事例があったためだというが、現在、日本の外国籍住民の半数以上が就労に制限のない永住者、特別永住者、定住者などの在留資格を持っている。また留学生らがビザを変更できなかった事例が過去にあったとしても、説明会の段階で排除するのはやはり差別だと言えよう。 在留資格を審査する出入国在留管理庁に対しても、企業の内定を受けた留学生らについてはより柔軟な対応を求めたい。

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コメンテータープロフィール

韓東賢

日本映画大学教員(社会学)

ハン・トンヒョン 1968年東京生まれ。専門はネイションとエスニシティ、マイノリティ・マジョリティの関係やアイデンティティ、差別の問題など。主なフィールドは在日コリアンのことを中心に日本の多文化状況。韓国エンタメにも関心。著書に『チマ・チョゴリ制服の民族誌(エスノグラフィ)』(双風舎,2006.電子版はPitch Communications,2015)、共著に『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』(2022,有斐閣)、『韓国映画・ドラマ──わたしたちのおしゃべりの記録 2014~2020』(2021,駒草出版)、『平成史【完全版】』(河出書房新社,2019)など。

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    そもそもは文科省が2003年の大学入学資格の弾力化に際し、各種学校カテゴリーのインターナショナルスク…続きを読む

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