そもそもは文科省が2003年の大学入学資格の弾力化に際し、各種学校カテゴリーのインターナショナルスクール、外国人学校のなかで、朝鮮学校だけを学校認定ではなく大学ごとの個別審査による認定としていることによって生じた問題であるとも言える。個別認定の審査は各大学にゆだねられているため、朝鮮学校の卒業(予定)が大学受験の資格になるわけではなく、認めなくても法的に許容されてしまう。とはいえ多くの大学ではこうした経緯から朝鮮学校を念頭に置いた個別認定の仕組みを作っており、それは関西医大にも存在したという。今回、朝鮮学校が各種学校であることを理由に認めなかったのだとしたら、大きな矛盾だ。 なお、国際評価機関または本国による認定を基準とすることで朝鮮学校だけを排除するこのロジックは、2013年、朝鮮学校を念頭に設けられていた基準が削除されたことで、現行の高校無償化・就学支援金制度にも引き継がれている。
コメンテータープロフィール
ハン・トンヒョン 1968年東京生まれ。専門はネイションとエスニシティ、マイノリティ・マジョリティの関係やアイデンティティ、差別の問題など。主なフィールドは在日コリアンのことを中心に日本の多文化状況。韓国エンタメにも関心。著書に『チマ・チョゴリ制服の民族誌(エスノグラフィ)』(双風舎,2006.電子版はPitch Communications,2015)、共著に『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』(2022,有斐閣)、『韓国映画・ドラマ──わたしたちのおしゃべりの記録 2014~2020』(2021,駒草出版)、『平成史【完全版】』(河出書房新社,2019)など。