見解暴力根絶のため、それが発覚した時は厳正な処分が必要だ。宮城野親方の監督責任が問われのは当然である。 ただ、処分はフェアかつ適正でなければならない。親方自身が暴力を振るったのではないのに、今回はこれまでの事案に比べて処分が過重ではないか。 その理由として、優勝の際に観客と万歳三唱をしたなど、現役時代の振る舞いが勘案されたと報じられている。ならば、その実績も勘案されなければフェアではない。 45回の優勝を含む前人未踏の記録だけではない。八百長相撲などで信頼が地に落ちた相撲界を一人横綱として支え、東日本大震災の被災地支援を続けたのは、横綱白鵬であった。自らの名前を冠した大会で、子どもたちへの相撲の普及活動にも努めてきた。 そんな親方個人への厳しすぎる処分に加え、部屋の閉鎖という罰まで課そうというのは、やり過ぎだ。日本相撲協会は公益法人である以上、傍目にももっとフェアな対応が求められる。
コメンテータープロフィール
神奈川新聞記者を経てフリーランス。司法、政治、災害、教育、カルト、音楽など関心分野は様々です。2020年4月から神奈川大学国際日本学部の特任教授を務め、カルト問題やメディア論を教えています。