見解裁判所には、もう少し常識を持ってもらいたい。 原告が「INNOCENCE PROJECT」のTシャツを着ていたのは、国家賠償訴訟の法廷だ。相手方は滋賀県と国。このようなTシャツを原告が着ていて、県や国が萎縮するか? 上部に虹色をあしらった靴下や、同じく虹色柄の腕時計を禁じられた同性婚訴訟も、相手は国だ。こんなグッズで萎縮するはずがない。 まさかとは思うが、裁判官自身が、「こういうものを目にすると、自分はビビって公正な裁判ができなくなっちゃう」とでも思っているのだろうか。 線引きは、難しくなんかない。基本的には何を着ようが身につけようが自由。トラブルや証人への影響が生じる具体的な危険性がある場合に限って、例外的に制限する。これで問題ないはずだ。 靴下の模様程度の自由を認められない裁判所が、表現の自由など国民の基本的人権に関わる問題を公正に裁けるのか。そっちの方がよほど心配になる。
コメンテータープロフィール
神奈川新聞記者を経てフリーランス。司法、政治、災害、教育、カルト、音楽など関心分野は様々です。2020年4月から神奈川大学国際日本学部の特任教授を務め、カルト問題やメディア論を教えています。