見解過去に弾劾裁判所に訴追された裁判官は9人。うち、罷免された7人は下着の盗撮、ストーカー行為、児童買春、事件関係者からの供応など、犯罪やそれが疑われる行為が理由だった。一方、訴追されたものの、「行為の大半は一社会人としての行為」などとして、不罷免とされたケースもある。 岡口氏のSNS発信は、すべて勤務時間外に行われたもので、「一社会人としての」表現だった。その内容は、事件の遺族感情を逆なでしたが、果たしてこれが「司法への国民の信頼を大きく損ねた」とまで言えるのか疑問だ。退職金もなく法曹資格も奪われるのでは、行為と罰のバランスが悪すぎるのではないか。 不快な表現に直面した時こそ、「表現の自由」を保障する意味を考えなければならない。ヘイトスピーチ解消法制定時に、国会が罰則規定を設けなかったのもそのためだ。その国会議員たちが今回、「表現の自由」の重みをどこまで考えたのかも、疑問が残る。
コメンテータープロフィール
神奈川新聞記者を経てフリーランス。司法、政治、災害、教育、カルト、音楽など関心分野は様々です。2020年4月から神奈川大学国際日本学部の特任教授を務め、カルト問題やメディア論を教えています。