国家安全維持法の施行以後、ほかにも、2019年のデモに関する写真集を出した写真家、デモ参加者を応援するなどしてきた路上演奏家が入境を拒否されている。今回の小川氏も同様に、デモに関して行った表現活動が問題とされているように見られるが、三人はいずれも特定の組織に所属しておらず、フリーランスの立場にある。同じようにデモに関連する報道を行っていても、大手メディアの関係者の入境は今のところ、制限していないように見えるが、場合によっては見せしめ的に入境させないケースが出てくるかもしれない。
コメンテータープロフィール
1971年大阪府生まれ。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。大阪外国語大学、名古屋大学大学院を経て、香港大学教育学系Ph.D（博士）取得。在中国日本大使館専門調査員、早稲田大学准教授などを経て、2013年より現職。主な著書に『貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告』（新潮選書）、『超大国中国のゆくえ―勃興する民』（新保敦子と共著、東京大学出版会）、『香港 あなたはどこへ向かうのか』（出版舎ジグ）など。
