解説嫦娥6号は、2020年12月に中国として初めて月表面のサンプルを持ち帰った嫦娥5号に続く、2回目のサンプルリターンミッションです。嫦娥6号が着陸した月南極域のエイトケン盆地は、月が形成された歴史を反映する「マグマオーシャン」由来の物質が表面に露出している可能性があります。採取したサンプルにこの物質が含まれていれば、米ソの月探査でも実現していない、貴重なサンプルが得られる可能性があります。サンプル分析は中国国内から始まることはもちろんですが、嫦娥6号には欧州の宇宙機関が開発した観測機器が搭載されていて、この協力関係から世界の科学者が分析の機会を得ることができるでしょう。
コメンテータープロフィール
1990年代からパソコン雑誌の編集・ライターを経てサイエンスライターへ。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書に『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。2023年4月より文部科学省 宇宙開発利用部会臨時委員。
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