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イブに届かぬ宅配ピザ 運営会社の法的責任は? #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

大手宅配ピザチェーン「ドミノ・ピザ」でクリスマスイブに宅配ピザを注文したものの、配達されなかったとして話題となっています。ネット上では「予約の受け付けが過剰で、店舗の処理能力を超えている」といった意見が示される一方で、「消費者自身がクリスマス商戦を避けるなど、行動を見直すことも必要だ」といった声も上がっています。運営会社の法的責任を含め、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

「ドミノ・ピザは、今回のケースにおいて問い合わせがあった場合には、商品の作り直し、もしくは全額返金する対応をとると説明」
出典:FNNプライムオンライン(フジテレビ系) 2024/12/25(水)

「2022年のクリスマス・イブに発生した大幅な遅延トラブルをめぐり(中略)本部の支援が不十分だったと認めた」
出典:弁護士ドットコムニュース 2023/1/5(木)

「経験が浅いアルバイト店員でも簡単に使えるシステムではないと意味はないし、かえって現場を混乱させることになる」
出典:Business Journal 2022/12/27(火)

「『宅配ピザの注文は財産上の取引行為』で、返金でも補えないような精神的損害は『観念できない』」
出典:朝日新聞デジタル 2024/7/18(木)

エキスパートの補足・見解

クリスマスの宅配ピザを巡っては、52分遅れて届いたことで返金を受けたものの、30分程度が我慢の限界であり、精神的苦痛を受けたとして、利用客の男性が慰謝料10万円の支払いを求めて運営会社を提訴したケースがありました。

「ドミノ・ピザ」とは別の宅配ピザ業者に対する裁判でしたが、裁判所はことし7月にその法的責任を否定し、男性の請求を棄却しています。特段の事情がない限り返金だけで十分だという判断です。「ドミノ・ピザ」が作り直しか全額返金に応じると述べ、それ以上の損害の賠償に言及していないのもそのためです。

以前は販売促進のため、宅配ピザ各社が「30分以内に届けられなかったら無料にする」とか「次回使える無料クーポンを渡す」などとうたっていましたが、配達を急ぐ配達人による信号無視やスピード違反、交通事故が問題となり、いまでは撤廃されています。

社内の目標にとどめるにしても、あまりにも厳しい時間制限は店のスタッフらにしわ寄せがいくだけですし、これを守ろうとして危険な宅配に及んだ配達人が事故にあい、負傷したり死亡したりしたら、労災になるだけでなく、運営会社が損害賠償責任を問われる事態にも発展します。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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