殿村誠士

子どもが生まれた父親たちへ「そのうち出番はくる!」――遊びも性教育も全力、庄司智春の育児論

1/11(金) 8:23 配信

「ミキティーーー!」と叫ぶギャグでおなじみの、庄司智春、43歳。お笑いコンビ「品川庄司」のツッコミ担当として人気を集め、トップアイドルの藤本美貴と結婚。現在は小学1年生の6歳の息子と3歳の娘の子育てに奔走する父親でもある。芸能界屈指のパパタレントとして各所に引っ張りだこの庄司にどんな育児をしているのか聞いてみると、意外にも「普通」だった。が、ものすごく育児が楽しそう。全力で遊び、全力でぶつかり、全力で息子の性教育にも取り組む庄司の子育て術の神髄とは。(石戸諭/Yahoo!ニュース 特集編集部)

父親の「出番」は息子が2歳になってから

「子どもが生まれた後輩芸人がよく『父親も育児って言われても何をやっていいかわからない』って相談にくるんですよ。そのときに必ず言うのは『最初はサポートでいい。言われたことからやればいいんだから。そのうち出番がくる』です」

2012年3月26日、庄司智春は沖縄から東京に戻る飛行機の中で祈っていた。「俺が到着するまでは、生まれないでくれ」。妻・藤本美貴のたっての希望もあり出産には絶対に立ち会うと決めていた。

彼は所属する吉本興業の仕事で、沖縄で開かれていた映画祭に参加していた。そこで「破水したかも」という連絡に、出演予定のイベントをすべてキャンセル。彼は急いで事務所が手配した飛行機に飛び乗った。

長男が誕生するのは翌日のことだった。

「立ち会い出産はやったほうがいい! 面白いことも多いですよ。妻がいきんでる顔を見たとき、つい『竹内力さんに似てるなぁ』と思ってしまったり。もうすぐ生まれそうというときに、彼女が飲む水がなくなったんですよ。義母に『水持ってきてください』ってお願いしたら、持ってきたのはコーラ。『えっ、なんでコーラ?』ってツッコミそうになりました」

出産の喜びを味わうことができたが、「父親」としての自覚はなかなか芽生えなかったという。庄司は「俺も子育てしているよって素直に言えない時期があった」と率直に明かす。

家にいる時間を増やして育児を手伝い、周囲は周囲で新世代のイクメンタレントとして庄司を称賛していたが「実は何もできていない」と思っていた。

「イクメンって呼ばれたのはありがたいんですけど、やっぱり人の目は気にしましたよね。あれ、実は庄司って子育てやってないんじゃないのって思われないように外にいるときはちゃんと抱っこしなきゃとか」

「本当に父親になった、俺も子育てしているぞと自覚したのは、息子が2〜3歳になるくらいかなぁ。息子は俺そっくりだし、生まれたばかりのときからかわいい。でも、生後すぐから2歳くらいまでの育児って、何をしてもママには絶対に勝てないんですよ」

まだ庄司の「出番」ではなかった。

3歳の息子に「とーたん、大好きだよ」と言われ号泣

庄司が「出番」を自覚したのは、息子が3歳になったある日のこと。

自宅近くを家族で歩いているとき、何の前触れもなく息子から「とーたん、大好きだよ」と言われた。大通り沿いだったが人目をはばかることなく号泣してしまったという。

「いつも接していたんだけど、やっぱり俺の気持ちって息子に伝わっていないかぁと思っていた時期だったんですよ。自然にさらっと息子から言われて、あぁ嬉しいって思ったら涙が止まらなくなって……。そのときの妻ですか? 後ろのほうで爆笑してましたよ」

妻・藤本美貴との2ショット。「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー 2018」の控室で(本人提供)

時期を同じくして、育児がこれまで以上に楽しくなった。自分の出番が増えてきたからだ。

「言葉が話せるようになって、コミュニケーションもこれまで以上に取れるし、俺も体を動かすことが大好きだから公園では全力で遊びます。父親の出番だって。そこで決めたことは、求められたら断らないということ」

「息子は抱っこして、ぐるぐるって回る遊びが好きだったんです。これって結構、大変なんですけど息子からもう1回やってって言われたら断らないって決めてました。こちらからは終わりを決めない。遊びの終わりを決めるのは子供です」

2015年には長女も誕生し、家族は4人に。娘も3歳になった。

「今が最高に楽しいですね。息子だけでなく娘も一緒に遊べるようになりました。あともう一つ、決めていることがあって、何か達成できたら大げさなくらい一緒に喜ぶことです」

「公園に遊具がありますよね。そこで最後まで登りきったとか、俺の手伝いなしで一人でクリアできるようになったら『やった、やった』って振り付きで踊って、ハイタッチです。人が周りにいようがなんだろうが気にしない」

きょうだいゲンカはチャンス、庄司流の「怒り方」

褒めるばかりではない。ダメなものはダメと叱ることもある。兄妹間のケンカも始まってきた。彼はケンカを父親の考えを伝えるチャンスだと捉えている。

「兄妹ゲンカも含めて、家庭内で起きることって社会に出るための練習だと思っているんですよ。子供だって、外の世界がありますし友達とケンカになることもあるでしょう」

「例えばケンカの原因がおもちゃを取った、取られただったらお互いに言い聞かせます。『取られたら嫌な思いするよね。でも、取られるのが嫌だからってものを投げるのはダメだよ』とかですね。子供だからわからないだろうではなく、すべて思っていることは丁寧に伝えるようにしています」

子供の感情が爆発して、落ち着かない状態になったら自分の部屋に連れていき、わざと薄明かりにして話しかける。このときは声を荒らげず、わざと普段以上に落ち着いて話すのがポイントなのだとか。

「これが効果があるんですよ。子供も悪いことやったってわかってますから。ちゃんと伝えたら、いつか外に出たときに『こうしたら相手は嫌かもしれないな』って考えられるじゃないですか」

庄司の子育ては、「普通」すぎるくらい「普通」だ。芸能人らしい華やかなエピソードよりも、どこの家庭でも起きそうなささいな出来事や子供たちとの思い出を楽しそうに話す。その姿はどこまでも自然体でまっすぐ、だから嫌みがない。

父親だからこそ切り込む、「むく」問題

目下、庄司は息子の「性教育」を父親の出番と考えている。そもそもの始まりは3カ月健診だった。小児科医から男性器の包皮をむいて洗うことを勧められた。それも「これはお父さんの仕事だね」と言われた庄司は俄然やる気を出す。

やがて息子も成長する。4歳のとき、一緒にお風呂に入りながら聞かれた。

「とーたん、なんでここを洗わないといけないの?」

「ここをちゃんと洗わないとかすがたまって、病気になるかもしれないからだよ。ほら、とーたんもちゃんと洗っているよ。恥ずかしいことじゃないよ」

「そうなんだ〜」

父と息子の絆はこれでぐっと深まる。

「この手の話は男同士だからできることもあるだろうって思うんです。母から娘に、女性だから伝えられることもあるでしょう。そこはお互いに役割分担かな」

昨年、小学校に入学した息子から嬉しい報告があった。

「この前、一緒にお風呂に入っていたんですよ。虎之助が『とーたん、あのさぁ』って話しかけてくるから、おぅどうしたって聞いていたんですよ」

「『今日さぁ、トイレで皮をむいておしっこしたらさ、めっちゃ出てズボンにかかっちゃったぁ』って言うんですよ。それで俺は大爆笑。ついにそれを経験したかぁ、また一歩成長したなって嬉しくなりました。漢字のテストで良い点数取ったときより嬉しかったかもしれないですね。ついつい、もう一回話してよってお願いしました」

庄司はもう一回話を聞いた後に、同じように大爆笑した。

「その様子を想像したらおもしろくておもしろくて。こいつ、いいヤツだなぁって」

「あれ、庄司じゃね?」。息子と近所のお祭りから帰る途中、小学生のグループにささやかれたことがあった。

息子は問いかける。「ねぇ、庄司って言われてるよ。やっぱり嬉しいの?」

父は「嬉しいよ。だって応援してくれてるからね」と返す。嬉しいのは声をかけられたことだけではない。そんな質問をしてくれるようになった息子の姿だよとも思いながら……。

夫婦仲とコンビ仲、維持が難しいのは……?

戸惑いから始まった庄司の子育て生活は年々、楽しさが増しているという。息子が学校の宿題で書いている絵日記に、それに返事をするという形で庄司も絵日記をつけ始めた。

そこで伝えているものの一つは過程の大切さだ。彼も芸人であり、妻は元アイドルだ。華やかに見える表舞台に立つために苦しい時間が必要なことは誰よりも知っている。

「さっき、おしっこ事件の話をしましたが、漢字のテストで良い点が取れてももちろん嬉しいんですよ。なんで良い点数が取れたかというと、それは日頃から練習をきちんとしていたからだよって話を絵日記で書いています。努力をしたことが一番嬉しいんだよって」

幸せだと思う瞬間を聞くと、しばし考えてから語りだした。

「食後に果物を食べようってときに『リンゴと柿、どっちにする?』って聞きますよね。そのときに息子が『リンゴ』って言って、娘が『柿!』って答えて、『じゃあ両方にしよっか』ってみんなで食べてるときとか。あぁなんか俺って幸せだなぁって思います」

彼はここでも「普通」すぎるくらい「普通」だった。誰もが経験するような何げない生活の一コマを、しみじみと幸せだと口にする。芸能人である前に、一人の人間として「普通の日常」を楽しんでいる。

最後にこんな質問をしてみた。

品川祐とコンビ仲を維持すること、夫婦仲を維持すること、どちらが大変なのか。

「それはコンビ仲でしょう。仕事のパートナーである品川と奥さんの決定的な違いは一つです。ミキティは僕のこと愛してますから」


庄司智春(しょうじ・ともはる)
お笑い芸人。1976年1月1日、東京都生まれ。高校卒業後、サラリーマンを経て、1995年、吉本総合芸能学院東京校(東京NSC)に第1期生として入学。同年、同期の品川祐とお笑いコンビ「品川庄司」を結成。2002年に、品川庄司として『第39回 ゴールデン・アロー賞』芸能新人賞を受賞。妻は、タレント・歌手の藤本美貴。1男1女の父。

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