NY原油23日:期近安・期先高、サウジは協力を表明するも
NYMEX原油1月限 前日比0.15ドル安
始値 41.49ドル
高値 42.75ドル
安値 40.41ドル
終値 41.75ドル
期近安・期先高とまちまちの展開になった。
アジアタイムは戻り売り圧力が強く、欧州タイム入り後には一時40.41ドルまで値位置を切り下げた。ただ、その後はサウジアラビアが原油市場の安定に向けて協力する用意があると表明されたことが警戒され、引けにかけては一気に下げ幅を縮小している。期近2限月は続落したが、3番限以降は小反発するなど、概ね前日終値と同水準で引けている。
サウジアラビア国営のサウジ通信(SPA)は、同国が原油相場と市場の安定に向けて、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国の双方と協力する用意があると表明した。12月4日にOPEC総会の開催を控える中、サウジが政策調整の動くリスクが、原油市場のおける弱気派に警戒感を誘った模様。短期的な下げ過ぎ感が強くなっていたこともあり、これを機会に売りポジションの損益を確定する動きが広がった。もっとも、実際にサウジが政策調整に動くと見る向きは少数派であり、本格的に上値を試すような動きは見られなかった。あくまでも自立反発のきっかけとして、サウジの政策調整のリスクが材料視されただけの可能性が高い。
週末には、ベネズエラのデルピノ石油鉱物相が、OPECが市場安定化策を講じない限りは、原油価格は20ドル台半ばまで下落する可能性があるとの認識を示している。他産油国に対して、生産能力への新規投資コストをカバーする均衡した価格の受け入れを呼びかけている。更に、サウジアラビアとカタールが88ドルの均衡価格を検討しているとの表明しているが、こうした発言が本物なのかは疑問視する向きが多く、殆ど材料視されていない。
足元では40ドルの節目が支持線として機能しているが、なお需給リバランスの完結見通しが立ちづらい状況にある中、下値不安が大きい相場環境が続く見通し。現行価格でも減産圧力が確認できる中、ここから急落するような必要性までは認めていないが、少なくとも大きく反発して減産圧力を緩めるようなことは許容されていない。ドル高や中国経済の減速懸念も強力な上値圧迫要因であり、原油相場の底入れ判断にはなお慎重スタンスが求められる。目先は、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かった際に、どの程度の反発力が見られるのかが注目される程度である。