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「日本は安保理の常任理事国入りをすべき」米有識者の79%が賛成(2022年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
安保理の常任理事国はそれなりの権限を持つものではあるが(写真:ロイター/アフロ)

「日本の常任理事国入り」に賛成のアメリカ合衆国有識者は79%

日本が安全保障理事会における常任理事国入りするのを望む声は、米国ではどれほどの大きさなのだろうか。その実情を外務省が2021年5月に発表した「米国における対日世論調査」(※)の結果から確認する。

国際連合の主要機関の一つ、安全保障理事会(安保理)は、第二次世界大戦における戦勝大国のアメリカ合衆国・ロシア(かつてはソ連邦)・イギリス・フランス・中国で構成される常任理事国と、非常任の理事国10か国(2年毎に改選)で構成されている。今世紀に入ってから世界情勢の変化に伴い、前者の常任理事国について、数か国を追加すべきではとの議論が持ち上がっている。特に先のロシアによるウクライナ侵略戦争の勃発後は、ロシアを常任理事国から外すべきではとの議論とともに、追加国に関する話も出ている。

これに絡み、日本が新たに国連安保理の常任理事国となるべきだと思うか否かについて、今調査対象母集団の有識者に聞いた結果が次のグラフ。2007年度から問い合わせの対象としているので、グラフも2007年度以降のみとなっている。

↑ 日本が新たに国連安保理の常任理事国となるべきだと思うか(有識者)
↑ 日本が新たに国連安保理の常任理事国となるべきだと思うか(有識者)

直近2021年度においては79%が同意を示し、反対意見は13%にとどまっている。2013年度以降は調査機関の変更とともに内部的な調査仕様の変更が考えられるため、一概に連続した結果として比較するのはいくぶんリスクが高くなるが、2013年度以降は反対意見が減少し、その分賛成意見と回答留保派が増える傾向にある。

直近の2021年度では前年度比で賛成意見が増え、反対意見が減る結果に。賛成意見の79%は過去最大値となった。これはロシアによるウクライナ侵略戦争が間近となり、国際情勢が緊迫化したことによるものが大きいと思われる。ロシアは常任理事国の一員なことから、国連が情勢の沈静化に関して有効に動けなかったという悔やみもあるのだろう。

賛成派の理由は

日本の常任理事国入りに賛成している人たちは、どのような理由でそのジャッジを示したのか。賛成意見を持つ人限定で、選択肢の中から当てはまる理由を複数回答で答えてもらった結果が次のグラフ。なお今設問は従来、賛成意見・反対意見それぞれの意見を持つ人にその回答理由を尋ねているが、直近年度では賛成意見の人のみとなっている。

↑ 日本の国連安保理の常任理事国入りに賛成する理由(有識者、複数回答、賛成回答者限定)
↑ 日本の国連安保理の常任理事国入りに賛成する理由(有識者、複数回答、賛成回答者限定)

賛成意見を持つ人の賛成理由としては、明確な「日本だからこそ」との理由が上位を占めている。もっとも見方を変えれば、「信頼できる同盟国であるから」はともかく、それ以外の選択肢においてはそれぞれ指摘している要件の実行を日本に強く求めているとの解釈もできる。例えば「日本は国際の平和と安全に貢献を行っているから」ならば、国連安保理の常任理事国入りを日本が果たしたら、アメリカ合衆国同様に、国際平和のために積極的な行動をしてほしいという思惑があるのだろう。特に2021年度では国際情勢を受けてか、「安保理機能の実効性を強化するから」「国際平和と安全に果たす今後の役割に期待するから」において、前年度比で値が大きく増えているのがポイントではある。

もっとも今件はアメリカ合衆国の有識者に限った意見の集約によるもの。アメリカ合衆国全体としてはどのような意見となるのかまでは分からず、さらに当然、他国の動向も大きく影響する。その上、安保理、さらには国連そのものの存在意義が大義名分以上のものではなくなっているとの指摘も見受けられる。

常任理事国のロシアによるウクライナ侵略戦争の勃発で、国際情勢に大きな変容が生じたことは否めない。早ければ戦争終結後にも、日本を対象とするか否かは別として、常任理事国の構成をどうするかについて、国連で議論が行われるに違いない。

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※米国における対日世論調査

直近分は外務省がハリス社に委託し、アメリカ合衆国内において電話により2021年12月~2022年2月に実施されたもので、有効回答数は一般人1005人(18歳以上)・有識者200人(連邦政府、大企業、マスメディア、労働組合、宗教団体、アカデミアなどで指導的立場にある人物)。一般人にはインターネット経由で、有識者には電話によるインタビュー形式で実施されている。過去の調査もほぼ同条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

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ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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