九州で再び線状降水帯が発生するおそれ、早め早めの避難行動を
今回の熊本豪雨で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
熊本ではきょうの午後になってから再び雨脚が強まってきていますが、引き続き、今週いっぱいは梅雨末期の大雨が降りやすい気圧配置が続くため、九州を中心に、いつどこで豪雨に見舞われてもおかしくない状況が続きます。
十分な警戒をお願いします。
九州の西海上に次々積乱雲が発生し、東進中
本州付近に沿うように梅雨前線が停滞し、活動の活発な状態が続いています。
特に湿った空気が集中的に流れ込んでいる九州から東シナ海にかけて、真っ白にみえる雲頂高度の高い積乱雲が次々と発生し、九州付近を指向している状態で、まさに梅雨末期にみられる非常に危険な気象条件となっています。
今夜遅く、再び線状降水帯が発生か
雨雲の予想をみると、今夜遅くにかけて、東シナ海からの活発な雨雲の列が鹿児島県を指向するように流れ込み、東西に連なるような線状の降水帯を形成する予想です。
降水強度をみると、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨を降らせる赤色の活発な雨雲が予想されており、もし線状の雨雲が組織化されるような場合、昨日の熊本県のように1時間に100ミリ以上の猛烈な雨を降らせる雨雲に発達してもおかしくありません。
なお活発な雨雲の進入経路は南北にずれる可能性も考えられます。
日付がかわると熊本県でも非常に激しく
あす6日(月)未明から明け方にかけて、活発な雨雲の列はやや北上する見込みで、今回甚大な災害に見舞われた熊本県南部付近にも非常に活発な雨雲がかかる予想です。
湿った空気の流れ込みや地形などにより雨雲が強化されると、やはり猛烈な雨が降ることも考えられ、数時間に集中的に降るおそれもあります。
なお、あす日中から夜にかけても、いつ雨雲が組織化され、線状降水帯を形成してもおかしくない危険な状態が続くでしょう。
最大降水量は、計算上600ミリ超も
現在、予想雨量をはじき出すコンピュータの計算は一つではなく、アンサンブル手法といって多数の計算結果をはじき出して予想しているのですが、これらをもとに計算された最大の予想降水量は上図の通りです。
やはり線状に連なる降水帯が予想される鹿児島県を中心に、熊本県や宮崎県の山沿いで非常に多くなっており、赤い400ミリ以上から一部には600ミリ以上を示す紫色も出現しています。
きょう夕方に発表された気象庁の予想では、熊本県や鹿児島県で1時間の最大雨量は60ミリ、また24時間の最大雨量は熊本県、鹿児島県、宮崎県で250ミリとなっていますが、線状降水帯が発生して集中的に降るような場合は、この予想をはるかに上回る雨量となってしまうことが多々あります。
昨日の熊本豪雨でも、気象庁の前日予想では、1時間の最大雨量は60ミリ、24時間の最大雨量は200ミリでしたが、ふたを開けてみれば、1時間雨量は解析雨量で110ミリ以上の所が続出し、24時間雨量も局地的に500ミリを超える記録的なものとなりました。
あすにかけても、コンピュータの最大予想にある通り、気象庁の予想を上回るような降り方をする可能性も考えられます。
今後とも気象レーダーなどで、最新の土砂災害や浸水、洪水の危険度を常に確認しつつ、決して逃げ遅れにならないよう、ぜひとも早め早めの避難行動を心がけて下さい。
なお、気象庁の大雨情報にある通り、九州以外でも太平洋側を中心にどこで大雨が降ってもおかしくありませんので、十分な警戒をお願いします。