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故郷を離れない移民たち(1)

高橋和夫国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

日系人

移民であるからには、故郷を離れない移民などは定義的には存在しない。しかし、心理的には移民先でも出身地の国での生活を続ける移民は、思いのほか多い。言葉を変えるならば、物理的には、もちろん移民先に生活しているのだが、精神的にはあたかも移民せずに母国に生活しているような人々がいる。そうした移民の例をアメリカに求めよう。

アメリカは移民の国である。これまでも、これからも、そうであろう。しかし、最近の移民は、これまでの移民とは異なっている。それは故郷と濃厚過ぎるほど密接な関係を維持するからである。これまでの移民は一世代から二世代のうちにアメリカに同化していた。同化という言葉の定義は難しいが、アイデンティティーの中心をアメリカ市民であるという自己認識が占めるようになり、生活言語として英語を使うようになっていた。例を上げれば、日系人である。明治期に移民した日系人の二世の多くは、第二次世界大戦中のアメリカ政府による強制収容といった過酷な経験にもかかわらず、あるいはそれゆえにか、アメリカ合衆国への強い忠誠心をヨーロッパ戦線で戦って証明した。しかも戦いの相手日本の同盟国のドイツやイタリアであった。また英語を母語とするようになった。

>>つづく

国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。

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イラン革命、イラン・イラク戦争、湾岸危機・戦争、アメリカ同時多発テロ、アフガン戦争、パレスチナ問題、イラク戦争、アラブの春と続発する事件に関して30年以上にわたり発言を続けてきました。またオフレコでメディア、官庁、政党、企業などに対し、そして名前を公表できない人々を含め日本の指導層のために助言とブリーフィングを行ってきました。高橋和夫の情報への感性に共鳴する方々のために分析を提供します。

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