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今、小学生の一番好きな本はゾロリでもコナンでもなくSTEM系学習マンガ

飯田一史ライター
科学漫画サバイバルシリーズ(朝日新聞出版)公式サイトトップページより

今、小学生の一番好きな本は『かいけつゾロリ』でも『名探偵コナン』でもなく、学習マンガである。

学習マンガと言っても今の20代以上が読んでいたような『日本の歴史』『世界の歴史』ではない。

STEM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、数学)系の学習マンガである。

具体的に言うと男子は『科学漫画サバイバルシリーズ』(朝日新聞出版)、女子は『まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫』(学研)だ。

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「学校図書館」2019年11月号に同年6月に全国学校図書館協議会と毎日新聞社により共同実施された第65回学校読書調査の結果が掲載されているが、このなかに「これまでに読んだ本の中でいちばん好きな本」に関する小中高生アンケートがある。

これを見ると男子は『サバイバルシリーズ』が99票獲得で2位の『名探偵コナン』62票、3位の『かいけつゾロリ』58票に大きく差を付けて1位、女子は『まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫』が60票獲得で2位の『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』『名探偵コナン』各27票に倍以上の差を付けてトップである。

サバイバルシリーズは韓国発の学習マンガだが、筆者は日本の担当編集者に取材したことがあるが、こんな作品である。

とくに読者が多いのは小3、小4で、読者ハガキの返りの男女比は7対3。「コロコロコミック」や「かいけつゾロリ」をよく読む年齢とほぼ重なるが、主人公はおバカだがやるときはやるタイプで、コミカルさに富む点が共通している。

「歴史や偉人ものの学習マンガの大半とは異なり、主人公は子どもで、大人に指示されてではなく自分たちで道を切り拓く。また日本の学習マンガでは、なんでもマンガの中で説明しがちだが、本シリーズは、ストーリー部分はハラハラドキドキ、ギャグ満載で、章の合間に解説コラムが入るスタイル。子どもは最初はコラムを読まないかもしれないが、繰り返し読むうちにコラムも読んで、覚えた知識を親に語ると親御さんたちは『よく知ってるね!』と驚く。お子さんだけでなく、保護者の方から感謝のハガキも、たくさんいただきます」(朝日新聞出版サバイバルプロジェクト室・須田剛室長)

 AI、アレルギー、大気汚染といった、その時々のニュースで話題となるテーマを扱った新作が出されている点も、子どもの心に刺さる理由だろう。

「子どもの本が売れる理由 知られざるFACT」第4回韓国発学習マンガが小学生に人気、「サバイバルシリーズ」朝読でも

まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫(学研)公式サイトより
まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫(学研)公式サイトより

一方、女子でトップの「まんがでよくわかるシリーズ・ひみつ文庫」は子どもが疑問に思っていることや、知りたいことを分かりやすく説明した学習マンガであり、ラインナップには『雷のひみつ』『総合商社のひみつ』『多目的作業車のひみつ』『乳酸菌のひみつ』『女子野球のひみつ』をはじめ、理科系を中心に、社会またはお仕事ものなどが多い。

小学生女子が一番好きな本って『ヘレン・ケラー』『ナイチンゲール』『赤毛のアン』あたりじゃないの? と思う人もいるかもしれないが(これらのロングセラーは今も読まれ続けてはいるものの)、アンケートからは、そうではないという結果が出ている。

「2019年、小学生の一番好きな本はSTEM系学習マンガ」という結果についてどう思うか、何を考えるか、肯定的に感じるか否定的に感じるかは人それぞれだろうが、まずはこの結果を受けとめ、大人も実際に読んで判断してもらえればと思う。

ちなみに中高生の結果は以下である。

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こちらは『君の膵臓をたべたい』『ハリー・ポッター』『ぼくらシリーズ(宗田理)』が圧倒的に強かった。

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ライター

出版社にてカルチャー誌や小説の編集者を経験した後、独立。マーケティング的視点と批評的観点からウェブカルチャー、出版産業、子どもの本、マンガ等について取材&調査してわかりやすく解説・分析。単著に『いま、子どもの本が売れる理由』『マンガ雑誌は死んだ。で、どうするの?』『ウェブ小説の衝撃』など。構成を担当した本に石黒浩『アンドロイドは人間になれるか』、藤田和日郎『読者ハ読ムナ』、福原慶匡『アニメプロデューサーになろう!』、中野信子『サイコパス』他。青森県むつ市生まれ。中央大学法学部法律学科卒、グロービス経営大学院経営学修士(MBA)。息子4歳、猫2匹 ichiiida@gmail.com

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