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大阪万博、飼い犬の同伴可という世界初の試み。条件の「発情期ではない」に獣医師が注意喚起したい

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:イメージマート)

大阪・関西万博では世界初で会場内へのペット同伴できる見込みです。

獣医師会やイベント会社などが、そのペットの条件を検討しているといいます。そのペットの条件を詳しく見ていきましょう。

大阪・関西万博で同伴できるペットとは?

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イメージ写真写真:イメージマート

どのようなペットが大阪・関西万博に入場できるのでしょうか。

・飼い犬

・かまない

・ほえない

・発情期ではない

・電車に持ち込めるサイズ

・ワクチン接種の証明書を提出

・ルールを順守する誓約書の提出

上記の条件を満たしたうえで、事前予約が必須ということです。暑い時期を避け、入場は5、6月に絞って、これらの条件を満たした犬が入場できることになっています。

「発情期ではない」

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イメージ写真写真:イメージマート

上の条件を一般の人が読めば、「なるほどね」ということになるかもしれません。しかし、獣医師の筆者が産経新聞のこの記事を読んで、一番獣医師が引っかかった条件は「発情期ではない」という点です。

犬の発情期とは、雄と雌が交尾することで子犬を妊娠できる時期のことをいいます。

雄犬は、一度性成熟すれば、一生涯ずっと発情期です。つまり、雄犬は交尾すれば、いつでも妊娠させることはできるのです。もちろん、強い弱いはありますが、毎日が発情期なのです。

雄犬の発情期とは?

雄犬と雌犬によって「発情」にも違いはありますので、犬の発情に関する基本知識をお話しします。そもそも雄犬は、ずっと発情期です。

犬によって個体差はありますが、雄犬は生後6カ月から1年ぐらいで、雄犬は成犬になり、いつでも交尾することができるのです。

雄犬は発情期の雌犬のニオイ(フェロモン)に反応して交尾が可能となるため、一度そのニオイを嗅げばいつでも交尾ができます。

つまり雄犬を発情させないためには、去勢手術をするか、去勢手術をしていない雄犬は発情している雌犬を近くに寄せ付けないことです。

雌犬の発情期とは?

雌犬は避妊をしていないと生後6カ月から10カ月ぐらいで、最初の発情期を迎え、その後は年に1〜2回の発情期を周期的に繰り返します。

雌犬は、みなさんがイメージされているような発情期があります。雌犬の発情期は、外陰部から血のような分泌物が出るのでわかりやすいです。

・発情前期(約10日間)

食欲が落ちたりします。外からわかりやすいのは外陰部が膨らんで出血が始まる、頻尿になることもあります。

・発情期(約11日間)

発情期に入ると出血量が減り、やがて止まります。排卵が起きます。

この時期にはほかの雄犬に対して自ら積極的に近づく、お尻を向ける仕草をすることも少なくありません。雄を探して落ち着きがなくなります。

・雌犬の発情期で注意する点:

外陰部から血のようなものが出ていないので、発情期が終わったと思う点です。血が出ていなくても外陰部が膨らんでいてやわらかくなっているとまだ、発情期です。獣医師などの専門家が見ればわかるのですが、一般の人が見たら、見落とす可能性もあります。

その上、外陰部などは犬がすんなり見せてくれないこともあるし、被毛で覆われているので、丁寧に時間をかける必要があります。高齢犬になると、雌犬の発情が弱くなるので、人間が見てわかるほど血が出ないこともあります。

その一方で、雄犬は人間より嗅覚が優れているので、雌犬の発情のニオイはすぐにわかるのです。

「発情期ではない」でなく「不妊去勢手術をしている」

このように雄犬の発情期は一生続くし、雌犬は発情期がありますが、わかりにくい子もいます。

それで、「発情期でない」ではなく「不妊去勢手術をしている」に条件を変えると会場で混乱が起きる可能性が減るのではないでしょうか。

「かまない」「ほえない」を証明するのは難しい

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イメージ写真写真:アフロ

犬は、知らない場所や他の人との出会いで興奮する可能性も考慮しなければなりません。

普段はおとなしいし、ほえない犬でも多くの人や犬に会うとほえる子もいます。そして、カートなどに入っている犬に知らない人が「かわいいね」と手を出すとかむこともあります。カートなどは犬にとってテリトリーになるからです。

まとめ

来場者には原則、公共交通機関の利用が求められています。会場の夢洲にはマイカーでの乗り入れは認めない方針です。

そのため、犬を連れて会場に行く場合は、地下鉄、JR、シャトルバスなどを利用します。そのため、人が多いところに犬を連れていくことになるのです。この辺りも検討する必要があります。

世の中には犬が苦手な人や犬アレルギーの人もいるため、彼らにも配慮して犬の入場を検討していただき、世界初の犬の入場を実現してほしいです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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