東京五輪ウエルター級ベスト8がプロで14連勝。しかし…
13戦全勝6KOのタイガー・ジョンソン(26)が、スーパーライト級8回戦に出場し、22勝(13KO)2敗1分のヨマー・アラモに判定勝ちを収めた。タイガーとはリングネームで、本名はデランテ・ジョンソン。ウエルター級のアメリカ代表として東京五輪に出場し、ベスト8に進出している。
1998年8月13日、オハイオ州クリーブランド生まれのジョンソンは、2016年11月にロシアで催されたユース世界大会で優勝を飾ったアマチュアエリートである。東京五輪では、後に金メダリストとなるキューバ選手に敗れた。満を持してプロに転向した折には、テレンス・クロフォードの前座が用意されている。2021年11月20日、クロフォードがシャウン・ポーターを10回KOで下してWBOウエルター級タイトルを防衛した日、ジョンソンも4ラウンドTKO勝ちした。
2戦目は3戦全勝の選手を相手に判定勝ち。白星を重ねながら、自らをタイガーと呼ぶことを好むようになった。
アラモは決して楽な相手ではなく、互いに速いジャブを差し合い、テンポの速い戦いとなる。身長178センチ、リーチ180センチの元オリンピアンは、ストレートを武器とする。が、華麗なフットワークは披露できず、アラモが手を出すと、簡単にロープに下がり、クリンチで難を逃れた。長い手から繰り出すフックがコンパクトではなく、何度も空を切る。
両者はタイプが似ており、強弱のあるコンビネーションは無く、ディフェンスはクリンチを多用する。よって、ハイレベルとは形容し得ないファイトとなる。筆者の目には、豊富なアマチュアキャリアが、プロの世界で生かされているようには全く映らなかった。
ジョンソンにとって幸運だったのは、29歳のプエルトリカン、アラモに一発が無かったことである。打ち終わりに気をつけなくても、凌げる相手だった。
二人は打ち合うのだが、クリンチで揉み合う時間が多く白熱しない展開となる。最終ラウンドはアラモの手数が優ったが、ジョンソンはプエルトリカンのパンチを殺せない。
そのまま試合終了のゴングが鳴り、78-74、78-74、77-75でジョンソンが連勝記録を伸ばした。
アマチュアのトップ選手であったのは事実だが、この力量で上を目指すのは厳しそうだ。勝者がコールされた際、マディソン・スクエア・ガーデンにはブーイングが起こっていた。