パチンコも読書もする人は減少中…主な趣味娯楽をする人の実情をさぐる
人は衣食住の充足だけでなく、自分の好みにあう娯楽を楽しむことで、はじめて生活の充実を確認できる。人々はどのような趣味や娯楽をたしなんでいるのだろうか。社会生活基本調査(※)の結果から確認する。
今件項目は回答時から過去1年間において、自分の趣味・娯楽としてその行動をしたか否かを聞いた結果をまとめたもの。調査では広範囲にわたる趣味・娯楽が対象となっているが、今回はパチンコ、テレビゲーム・パソコンゲーム(※※)、カラオケ、園芸・庭いじり、趣味としての読書、写真の撮影・プリント(※※※)に限定した。頻度は問わず、1年以内に一度でも手にした・実行すれば該当する。
そのうち4項目に限定して年齢階層別に見たのが次のグラフ。調査対象母集団全体ではパチンコ8.5%、テレビゲーム・パソコンゲーム35.8%、カラオケ30.7%、写真撮影やプリント24.9%との結果となった。
パチンコは20歳以上の年ではほぼ一定率で遊んでいる人がいる。最多行動者率は30台前半の12.3%。60代までは1割前後を維持し、70代に入ってようやく値は減り始める。しかし75歳以上でも2.7%の人が遊んでいる。
一方テレビゲーム・パソコンゲームは10代前半がピーク。以降行動者率は減っていくが、40代後半以降は減少率がやや大きなものとなる。他のデジタル系ツールに関する調査でも大体この年齢階層で断崖的な差異が生じており、デジタルギャップがこの年齢階層で発生しているものと思われる。あるいは老眼によるものだろうか。
一時は大いに流行り、あちこちにカラオケボックスが点在することになったカラオケも、今では全体で約3割。若年層の利用率は高めで、20歳前半では2/3近い行動者率を見せている。またパチンコ同様、高齢層でも一定率の利用者がいるのも特徴的な動き(75歳以上でも1割以上が利用経験ありとしている)。
写真撮影・プリントもまた、高齢者でも高い利用率を示している。もっともこちらは30代がピーク。多分に世帯を持ち、子供の写真を撮る必然性が生じてのものだろう。
さてこれら4項目に、いくつかの趣味・娯楽として例に挙げられることが多い項目を加え、前世紀末からの行動者率の動きを見たのが次のグラフ。
テレビゲーム・パソコンゲームは本体普及率の向上に加え、スマートフォン上のゲームも回答に含まれている可能性もあり、値は増加の一途をたどっている。今回取り上げた中では唯一、前世紀末から継続して上昇している項目。他の娯楽は読書や写真撮影、日曜大工のように一時上昇していたものの、大よそ減少傾向にある(日曜大工は直近で増加したが)。特にカラオケは、1996年から2011年にかけて、16%ポイント以上もの減少が確認できる。直近では30.7%と3割台を回復したが、一時的なものか、上昇傾向に転じたかは現時点では見極めにくい。
「趣味、娯楽の多様化」との指摘はよく耳にする。しかし実際には既存の娯楽から疎遠になる人が増え、特定の趣味の中で細分化している感は否めない。今件社会生活基本調査の「趣味・娯楽」の項目には無いが、例えばソーシャルメディアでのやり取り、テレビ視聴、ウェブサーフィンのように、他の趣味を包括しうるものに取り込まれている気がしてならない。
■関連記事:
男性全般・女性中堅層までで大きく増える趣味や娯楽のインターネット利用
「ハマりすぎるとヤバいよな」と思う趣味・レジャー、トップはゲーム
※社会生活基本調査
5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。
※※テレビゲーム・パソコンゲーム
スマートフォンのゲームも含まれるか否かは判断が難しいところだが、他の一部項目では「テレビ・スマートフォン・パソコンなどは除く」と仕切り分けがしてあること、スマートフォンに限定したゲームの項目がないことを併せ考えると、回答者がスマートフォンのゲームで遊んだ場合に「テレビゲームみたいなものだから」と判断して該当すると回答した可能性は多分にある。
※※※写真撮影
質問票では特に詳しい説明はなく、紙焼きのカメラ以外にデジタルカメラ、モバイル端末による写真撮影も含まれると考えてよい。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。