NY金26日:ギリシャ情勢の見極めで小動きも、週明けは二桁高に
COMEX金8月限 前日比比1.40ドル高
始値 1,172.50ドル
高値 1,178.00ドル
安値 1,167.10ドル
終値 1,173.20ドル
ギリシャ債務問題への警戒感が下値を支えるも、週末の交渉状況を見極めたいとするムードが強く、大きな値動きには発展しなかった。
欧州タイム入り後は一時1,178.00ドルまで買いが膨らむ場面も見られたが、ニューヨークタイム入り後は逆に1,167.10ドルまで売り込まれるなど、強弱感の交錯した展開になっている。やや週末のイベント警戒で買い優勢の展開になるも、大きな値動きには発展しなかった。
ギリシャ債務問題に関しては、26日にギリシャと独仏首脳会合、27日にはユーロ圏財務相会合が開催されたが、最終合意には至らなかった。債権団側からはギリシャ政府に対してより強力な財政再建策の導入が求められたが、ギリシャ政府は受け入れを拒否しており、6月30日の国際通貨基金(IMF)向けの支払い15億ユーロがデフォルトリスクに晒されている。ギリシャは当面の危機回避のために救済プログラムの延長を要請しており、ユーロ圏首脳の対応が注目される。ただ、ギリシャ政府は7月5日に債権団からの要求を受け入れるか否かの国民投票を実施するとしており、ここでギリシャ国民が更なる財政再建策の受け入れを拒否すれば、ギリシャのデフォルトは時間の問題になる。
既に29日からギリシャの銀行取引休止が決まるなど、資本流出や取り付け騒ぎに対する対応策が講じられている最中である。仮にギリシャがデフォルトになったとしても、2011~12年当時のように民間部門がギリシャ債を大量保有していた状況とは異なるため、欧州債務危機の第2弾といった動きに発展する可能性は低い。ユーロ圏各国もギリシャ支援には消極姿勢を崩していないが、危機が他の南欧諸国などに波及することを防止するための対策には全力を尽くしている。ただ、既に為替市場ではユーロが急落するなどの混乱が見受けられ、「質への逃避」が本格化すると、金市場にも退避マネーの流入が発生する可能性がある。本稿執筆時点のスポット価格は1,180ドル台中盤から後半まで値位置を切り上げている。ドル高への対応よりも、質への逃避が優先されていることが窺える。
ギリシャ要因で金価格が断続的に値下がりを迫られるような事態は想定していないが、ギリシャ支援の合意形成に失敗した以上、目先は少なくとも大きな下げは想定しづらくなっている。7月2日に米雇用統計の発表も控えているが、ここで強めの数値が出てダウントレンドが追認されても、ギリシャ情勢の先行きが見通せる状況になるまでは、一定の底固さが残ろう。