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【河内長野市】西アフリカ・ブルキナファソと万博国際交流プログラムが開始。ところでどんな国でしょうか

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

ご存じのとおり、来年4月から関西万博が行われますね。夢洲(ゆめしま)に世界各国のパビリオンが並ぶ、国を挙げての一大イベントであることは間違いありません。とはいえ世界にある国は、誰もが知っているような大国ばかりではありません。

ブルネイ:2018年9月筆者撮影
ブルネイ:2018年9月筆者撮影

例えば、アジアならボルネオ島にあるブルネイは知名度が低そうですし、ヨーロッパでもリヒテンシュタインやアンドラなどは知っている人が少ない印象があります。そして中南米やアフリカになればもっと知らない国が多そうです。

そんな中、先日河内長野に、万博国際交流プログラムの一環として、ある西アフリカの国の駐日大使一行が来られました。その国の名はブルキナファソ(画像の赤いところ)です。私もこの情報を得るまで、不覚にもこの国の存在を知りませんでした。

ブルキナファソを調べてみると、西アフリカにある内陸の国で、周りは六つの国に囲まれています。駐日ブルキナファソ大使館(外部リンク)の公式ホームページにいろいろな情報が載っています。例えばブルキナファソの主食はトウモロコシ粉で作られた「トウ」といいます。また別の情報ではブルキナファソの代表的な観光地には次の所があるとのこと。

  1. ワガドゥグーの市場
  2. ロロペニの遺跡群
  3. ピク・ドゥ・サンドゥー
  4. ボボ・ディウラッソの大モスク
  5. ラオンゴ彫刻シンポジウム
サキタハヂメさん
サキタハヂメさん

情報が決して多いとは言えないブルキナファソと河内長野との接点を調べていくと、市内在住のミュージシャンサキタハヂメさんにつながりました。サキタさんは「TEAM EXPO2025」プログラムに「共創チャレンジ」として「地球オルガン・プロジェクト〜世界の森を音で繋ぐ〜」での取り組みの最中です。

10周年を迎える奥河内音絵巻
10周年を迎える奥河内音絵巻

サキタさんは9月8日にラブリーホール「奥河内音絵巻」(外部リンク)のステージに立ちますが、上で書いた通り、来年の万博に向けていろいろな活動をされています。そしてサキタさんがブルキナファソのミュージシャンとの親交があったために、河内長野とブルキナファソとがつながったのです。

河内長野市によると、「つながる河内長野」と題し、大阪・関西万博のテーマである「命輝く未来社会のデザイン」を実現するために重要な「ひと」「もの」「こと」の有機的なつながりを広げる多様な取り組みを行おうとしています。

そして、幅広い世代の市民が世界の文化や芸術に触れ、河内長野の豊かな自然と歴史・文化など多くの魅力を世界へ発信していく取り組みが、2024(令和6)年5月に内閣官房が実施する事業「万博国際交流プログラム」として選定されたとのこと。

河内長野市によると、市民・事業者・団体などの従来のつながり作りに加え、新たにブルキナファソとのつながりを作ることにより、市民の方々にブルキナファソの文化や芸術に触れてその魅力を感じてもらい、逆に河内長野市の魅力を存分に伝えるための国際交流の取り組みを進めていくそうです。

その第一弾が、先月27日に関係者を中心に行われました。とても気になった私はブルキナファソの駐日臨時大使が来られるイベントに特別に中に入れていただきました。場所は天野山金剛寺です。

会場は金剛寺の大講堂です。境内を流れる天野川を渡ります。

大講堂の中に入るとすでに準備が行われていました。

ステージ後に飾ってある屏風は、国宝の「日月四季山水図屏風」のレプリカです。

開始を待っている間、天井の様子を撮影しました。金剛寺大講堂は1942(昭和17)年に建てられた登録有形文化財です。

天野山金剛寺の堀智真座主と会話をしているのは、テウェンデ・ポール・スィンガ駐日ブルキナファソ大使館臨時代理大使です。

次に、後ろ姿で握手をしているのは、スィエ・カリファ・スマイラ・ディアバテ駐日ブルキナファソ大使館二等書記官です。目の前にいる方がサキタさんと親交があるブルキナファソ出身の音楽家ミロゴ・ベノワ氏です。

出席者はふたりの副市長や教育長をはじめとする市の関係者、河内長野市国際交流協会(KIFA)の関係者の方など今回の取り組みに対して主体的に関わっている方々ばかりです。

関係者がそろったところでイベントが始まりました。

テウェンデ臨時大使による挨拶です。ブルキナファソには約60以上の部族がいてそれぞれ言葉が違うのですが、国全体の共通公用語はフランス語です。ブルキナファソの詳細について、通訳を交えてお話がありました。

島田智明前市長(撮影当時は市長)による挨拶です。面積の広い北海道には国宝がひとつ(中空土偶「茅空」)しかないのに対して、この金剛寺だけで5件の国宝があるというお話をされました。

(注:2023年5月、新たに重要文化財の「北海道白滝遺跡群出土品」がふたつ目の国宝に指定されています)

KIFAの柴理梨亜会長によるあいさつと続きます。柴会長は、ユニセフ憲章にあるように、お互いを理解しあわないと紛争になってしまう、世界平和は大きな目標だけど自分たちでできることから始めよう、そしてアフリカにも目を向けることの大切さを話されました。

堀座主が天野山金剛寺について説明を行いました。850年の歴史があり、中世の頃に南北朝両方の天皇や上皇が同時に金剛寺に住んでいた時期があることから、ベルサイユ宮殿のような存在だった、そして空襲に遭わずに生き残ったことで、文化財が多く残っているという話をされました。

挨拶がひととおり終わったところで、演奏が始まりました。サキタさんとミゴロさんによるセッションです。

こちらは、河内長野で開発された奥河内三弦(オッカサン)の説明です。サキタさんの話によれば、オッカサンは新しく開発された楽器なのに、世界中の伝統楽器と比べてもまったく違和感がないとのこと。

ミゴロさんの持っている弦楽器は「ンゴニ」というそうです。丸い大きな部分はひょうたんとのこと。

さらに木琴(バラフォン)が登場しました。下の部分がひょうたんになっているのが大きな特徴です。

見知らぬ楽器の数々だけでも一見の価値があります。少しずつですがブルキナファソのことを理解しつつあります。

3曲ほど演奏が披露されました。画像上は静かに座っているように見えますが、実際にはとても盛り上がっていました。

音楽セッションの後はトーク会です。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会のウスビ・サコ副会長(右から二番目)も壇上に上がりました。ウスビ副会長はブルキナファソの隣国、マリの出身で、2018年から4年間京都精華大学の学長を務めた方です。ウスビ副会長によれば、かつて存在したマリ帝国とブルキナファソとの歴史的接点は深いとのこと。

また、左から3番目の方は、森重裕子関西学院大学助教です。森助教はブルキナファソに精通した方で、エンパワーメント(能力開花)、フェアトレード、国際保健分野の研究のほか、ブルキナファソの森林保全や女性・子ども支援等の活動をおこなっているそうです。

ここでのトークセッションで興味深いのは、意外なところで日本にブルキナファソのものが入り込んでいると言います。それはシアバターで、赤ちゃんの全身マッサージにつかわれています。またインスタントラーメンの「出前一丁」のごま油にもシアバターが含まれているとのこと。一気にブルキナファソへの親しみが持てました。

トークセッションが行われている横で、ブルキナファソの様子が映し出されていました。

ブルキナファソはホスピタリティの素晴らしい国で、見知らぬ人が荷物を持ってくれるようなこともあるそうです。同様に河内長野も大阪府下33市の中でこの10年間、犯罪発生率の少なさがほぼ1位で、河内長野のホスピタリティの良さにより、東京の人が感動したというエピソードもあるので、お互いの共通点があるのではという話もありました。

画像にあるとおり、ハイウェイでも野生動物が堂々と横断しています。日本では動物園でしか見られないような動物たちが、ブルキナファソでは野生で普通に生息しているとのこと。また年中暑いわけではなく、季節によって温度に違いがあるそうです。

スィエ二等書記官は、グリオの家系とのこと。グリオとはブルキナファソの伝統伝達者のことで、元々文字の無い文化だったアフリカでは、語り部として活躍したそうです。語り部に加え、司会者や地域のガイド、歴史を子供に教える歴史の先生など、世襲で多彩な役目があるという話をされました。

機会があればぜひブルキナファソの文化に触れて欲しい、だから機会があればブルキナファソに遊びに来てほしいと臨時大使が語りました。とはいえ、日本からブルキナファソへの直行便はありません。パリ、ブリュッセル、イスタンブールを経由すれば、ブルキナファソの首都ワガドゥグーに行けますが、丸1日はかかるようです。

ブルキナファソはそう簡単に行ける国ではないので、河内長野で気軽にその文化に触れられるという意味で来年の万博が良い機会というわけですね。ウスビ副会長によれば、ブルキナファソのパビリオンはパビリオンタイプC(共同館方式)にあり、ナショナルデーは8月4日(月)とのこと。

万博については、先月から広報かわちながのででも万博コラムとして紹介されているので、来年万博に行くことを検討している方は一読してみてください。

最後に西野修平市長(撮影当時は次期市長)のあいさつで午前の部は締めくくられました。午後からは市立日野みのでホールにて、日野地区獅子舞の演舞と和太鼓響の演奏があり、その後は歓談の時間がありましたが、私はあいにく午後からどうしても抜けられない別の予定があったので、午前中だけの様子のご紹介となりました。

サキタさんは、「この日がスタートです」と強調していました。今回はいち早く関係者だけの交流会でしたが、このあと万博本番に向けて市民とブルキナファソとの接点があるイベントが行われる予定なので、注視していきたいと思います。

天野山金剛寺

住所:大阪府河内長野市天野町 992

アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 天野山バス停下車すぐ

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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