パソコンとスマホなどはどこから利用しているのか、その実情をさぐる
パソコンは高機能だが機動力の点で今一つで、それはノート型パソコンが主流になった現在でも変わらない。一方、その機動力の点で優れたスマートフォンやタブレット型端末が急速に普及をしつつあるものの、総合的な処理能力の点ではパソコンに届かない。半ばそれぞれの端末が一長一短的な状態にある現在においては、どのような場所でどれほどまでに、各端末が利用されているのだろうか。情報通信政策研究所が2017年7月に発表した「平成28年 情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から、パソコンや携帯電話などによるインターネットの利用状況について確認する。
次に示すのは、自宅・職場・学校・移動中の4項目に使用場所を区分した上における、それぞれの端末によるインターネットの平均利用時間を年齢階層別に仕切り分けしたもの(元資料ではこの他に「その他」の場所区分があるが、今件では省略している)。また、今データは各年齢階層の全体比であり、利用していない人の利用時間はゼロとなるので、利用者そのものが少なければ、必然的に平均利用時間は短いものとなる。
平日は職場や学校にいる機会が多いことから、パソコンの自宅での利用時間は休日と比べて短め。職場では若年層より中堅層の方が長い時間パソコンと相対していることになる。意外なのは10代・20代の学校での利用時間で、ほとんど利用している人が居ない(学校におけるパソコンの利用の際にはインターネットは遮断されているケースもありうる)。20代は大学生における利用だろう。さらに移動中のパソコンの時間がほぼゼロであることから、かつては結構な割合で見受けられたノートパソコンを利用しての移動中の作業をする人が、今ではほぼいないことが見て取れる(類似ケースとしてタブレット型端末の操作をよく見かけるようになったが)。
携帯電話も平日であることから、自宅での利用が多い(以前の記事で取り上げた時間帯別利用性向から見るに、多くは朝の出勤・登校時間前、そして夕食後就寝に至るまでの間に利用している)。若年層ほど利用時間が長いのは、単に利用者における利用時間の長さだけでなく、所有率の高さも影響している。また移動中の利用も10代から20代が長めとなっている。
これが休日になると小さからぬ変化を見せる。縦軸の仕切りが平日とは異なっていることに注意。
パソコンの利用時間は平日より長い。2倍前後の長さが確認できる。また休日でも職場で利用している動きがわずかに見受けられるが、これは休日出勤の実情が見て取れる。たまたま調査日に出勤した……と思いたいが、日常化している人も中にはいるのだろう。
興味深いのは携帯電話の動向。平日だけでなく休日でも圧倒的に自宅における利用が多い。携帯電話は機動力の高さが買われて利用されているはずではあるが、自宅での利用が多分に及んでいる実態が分かる。機動力が高く移動中や移動先で使えるから、ではなく、移動中や移動先「でも」使えるから、携帯電話は評価されているのが実情のようだ(あるいは長時間の利用ではなく、断続的に、絶え間なく移動中に利用しているため、利用時間としてはカウントされにくいのだろう)。
機動性の高さは「自宅内での」運用のし易さとの点で特に重宝されている、そう考えると今結果も納得ができる。あるいは自宅内での利用は、単に電池切れを恐れての結果かもしれないが。
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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。
今件においてパソコンはデスクトップとノート型パソコンの双方、携帯電話は従来型携帯電話とスマートフォンの双方を意味する。さらに今件の各値はインターネットの利用時間であり、単純な端末利用時間では無いことに注意を要する。もっとも現在ではパソコンも携帯電話も、事実上インターネット無しにはほぼ利用不可能な端末として存在していることから、状況把握の上では特に問題はない。