弱り切った金正恩が「とどめの一撃」を食らう“最悪の7月”
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、14日付の紙面に掲載した天気予報の記事を通じ、今後に対する危機感を露わにした。
気象水文局兼中央気象予報台の沈明玉(シム・ミョンオク)副台長によると、6月下旬には高気圧の影響を受け、同月末からは気圧の谷の影響で全国的に雨となり、7月上旬、中旬には北西太平洋高気圧と梅雨前線の影響で蒸し暑くなりそうだ。
平均気温は22.7度で、平年の22度より若干高く、昨年の23.3度よりはかなり低くなりそうだ。また、全国の降水量は220ミリから260ミリに達し、昨年の456ミリよりは少ないものの、平年の197ミリよりは多くなりそうだ。梅雨入りは平年の7月12日より早まりそうで、7月上旬と中旬には黄海に面した西海岸と日本海に面した江原道(カンウォンド)の一部地域で大雨となる予報だ。
しかし、記事はこのような但し書きを付けている。
「エルニーニョが発生する可能性が高まっていることで、今後の気象条件は予測できないほど変化するかもしれない」
エルニーニョが北朝鮮に及ぼす影響は、日照り、猛暑、そして局地的な大雨となって現れる。それらによる農業への被害に対処するために、適時の対策を立てるように記事は呼びかけている。
韓国のネット上では先月、「今年の7月は4日間を除いて毎日雨が降る、史上最悪の梅雨になる」との情報が流れている。韓国の気象庁は「根拠が薄い」として否定しているものの、韓国も北朝鮮もここ20年来、毎年のように猛暑と洪水に襲われている。
1998年、ソウル首都圏では7月13日から13日連続で雨が降り、8月8日は1日の降水量が332.8ミリに達し、各地で河川が氾濫した。ソウルの8月の降水量は1237.8ミリで、年間降水量に匹敵する。その前の1995年、北朝鮮では50年に1度と言われる大洪水が起き、その後の大飢饉「苦難の行軍」に繋がって国内に大混乱をもたらした。
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また、2010年の8月にはソウルで、24日間雨が降り続いた。これ以降、同様の大雨がほぼ毎年繰り返されており、今年は5月に済州島や全羅南道を中心に集中豪雨が降るという異例の事態となっている。
防災インフラが比較的整っている韓国でも深刻な被害をもたらす集中豪雨だが、インフラ整備の遅れている北朝鮮では、少しの雨でも被害が出ることがある。昨年6月、朝鮮中央テレビのインタビューに答えた平壌郊外、楽浪(ランラン)区域の農民は、農場が低地帯にあるため、1時間あたり60ミリの雨でも浸水被害が発生すると述べた。他の地域でも1日の降水量が100ミリを超えると被害が出るようだ。
北朝鮮当局も手をこまねいてみているだけではなく、一部地域では揚水ポンプを設置するなどの対策に当たっているが、ほとんどの地域は対策ができていない。農業第一主義を掲げ、農業生産の増大を図る金正恩政権だが、自然災害に対応できないことも一因となって達成は難しそうだ。
災害の規模によっては、すでに「苦難の行軍」以来の食糧難の中にあるとされる北朝鮮に、とどめの一撃を加えることにもなりかねない。