Yahoo!ニュース

NY原油26日:米原油在庫減少も、ドル高で期近反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油10月限 前日比0.71ドル安

始値 39.69ドル

高値 39.86ドル

安値 38.52ドル

終値 38.60ドル

米国株は急反発したが、原油市場では需給緩和懸念を払拭するには至らず、戻り売り優勢の展開になった。

アジア・欧州タイムは総じて39ドル台中盤で揉み合う展開になったが、ニューヨークタイム入りしてからは株高よりもドル高が材料視され、39ドル台を割り込む展開になっている。米エネルギー情報局(EIA)発表の原油在庫(8月21日時点)は前週比-545.2万バレルの4億5,076.1万バレルとなり、予想外の大幅減少になった。米国内の製油所向け原油需要がなお高水準を保つ中、在庫取り崩しが促されている。ただ、クッシング地区の原油在庫が前週比-25.6万バレルと減少したこと、製油所向け原油需要はピーク形成に向かっている可能性が高いことで、米国内需給要因を手掛かりに買い進むような動きはみられなかった。なお中国株が不安定な値動きを見せていることもあり、原油需給の緩和リスクに対する警戒感は根強い。石油輸出国機構(OPEC)の協調減産を巡る議論も盛り上がりを欠いており、本格反発シナリオを描くことは難しい地合が維持されている。

本日は期先安に対して期先が小幅続伸するなど、当先のサヤバランスからは大きく値崩れを起こす環境にはない。期近を更に押し下げていくには、期先の値下がりが必要不可欠であり、このまま当限から投機筋主導で急落展開までは想定できない。ただ、期先限月の値位置も着実に切り下がる中、緩やかなペースで下値切り下げを打診する展開は維持されよう。特にドル高への回帰が見られると、原油相場全体の水準が一気に切り下がる可能性もある。

画像
マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

小菅努の最近の記事