NY金28日:急反発、ミネアポリス連銀総裁が追加緩和について言及
COMEX金10月限 前日比11.30ドル高
始値 1,124.10ドル
高値 1,139.90ドル
安値 1,122.80ドル
終値 1,133.50ドル
米金融当局者から追加金融緩和についての言及が聞かれたことが警戒され、急反発した。
原油相場の戻り高値更新でアジアタイムから底固い展開になるも、欧州タイムはドル高連動でマイナスサイドに沈むなど、方向性を欠いた。ただ、ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁がCNBCのインタビューにおいて、インフレ率の低さなどを理由に近い将来の利上げに否定的な見解を示すと同時に、追加緩和が必要になる可能性を指摘したことが、金相場の急伸を促している。これまでの利上げ先送りを支持する声は聞かれていたが、追加緩和の必要性にまで踏み込んだ発言には意外感があり、金相場は明確な買い反応を示している。
注目されたフィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)副議長の講演では、米経済がかなり良好に進行していることを報告する一方で、利上げの段階に達したか否かの態度は保留したことで、特に手掛かりにはならなかった。市場のボラティリティが増していることが利上げ開始時期に影響を及ぼす可能性を指摘する一方で、インフレ見通しの改善には自信を示しており、金価格に対する評価は中立的になっている。今後2週間のデータを考慮するとされており、9月利上げの可能性も先送りの可能性もある、中途半端な金融政策環境が維持されている。
足元では、中国リスクに対する警戒感後退を受けて商品市況の反発傾向が続いており、これも金価格に対する強力なサポート要因になる。ただ、既にCRB商品指数は2週間ぶりの高値を更新しており、ここから更に「商品相場高→金相場高」の流れが進むリスクは限定されよう。
引き続き焦点は米金融政策環境になる見通しであり、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)前に株価急落の第二波がみられれば、当然に利上げ先送りの流れが決定的になる。ただ、経済指標そのものはフィッシャーFRB副議長も指摘してる通りに底固い状態を維持しており、クリーブランド連銀とセントルイス連銀の各総裁は、米経済見通しは利上げを正当化するとの見方を示している。金価格に関しては、あくまでも一時的な戻り圧力の有無との視点で十分だろう。目先はこのまま株式市場が落ち着いた状態を維持できれば、改めて戻り売り圧力が強まり易い。