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ノロノロ台風12号 14日にかけて沖縄を通過 台風の発生が相次ぐ理由

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
台風12号の雲域(2022年9月11日午後3時、ウェザーマップ作画)

 非常に強い台風12号は11日(日)午後3時現在、石垣島の南の海上をゆっくり北上しています。らせん状の雲バンドが長く、くるりと一周以上取り巻いて、中心に眼があることから、非常に発達している様子がうかがえます。

台風12号の進路予想図(2022年9月11日午後3時)ウェザーマップ作画
台風12号の進路予想図(2022年9月11日午後3時)ウェザーマップ作画

 台風を流す風が弱いため、今後も速度は上がらず、影響が長引くでしょう。14日(水)にかけて沖縄を通過する見通しです。11日午後3時現在、石垣市と竹富町に暴風警報が出ています。

最強のアイウォール

 台風を取り巻く雲には大きく分けて2つあります。ひとつは台風の中心部を形作っている内側降雨帯で、そのなかでも眼のまわりを取り巻く壁雲(アイウォール)は最も発達した雲です。

 こちらは台風12号の雨雲の様子です。眼がはっきりと捉えられています。

台風12号を取り巻く雨雲の様子(2022年9月11日正午)ウェザーマップ作画、筆者加工
台風12号を取り巻く雨雲の様子(2022年9月11日正午)ウェザーマップ作画、筆者加工

 壁雲(アイウォール)で思い出すのが2015年9月の台風21号です。台風の壁雲が通過した与那国島では日本歴代(富士山頂を除く)3位となる最大瞬間風速81.1メートルの凄まじい風が吹きました。風に強いはずの風力発電の羽根が壊れてしまったので、驚いた記憶があります。

 もうひとつは外側降雨帯です。外側に向かって一つ、二つ、三つあります。九州から四国沖に広がる三つ目の雲は台風の中心から千キロ以上も離れています。このように、一見すると台風の雨雲は中心に近いところだけと思いがちですが、実はかなり広範囲に広がっているのです。

台風が相次いで発生する理由

 8月の1か月間で5つ台風が発生し、にわかに日本の南海上が騒がしくなってきました。地上天気図をみると、台風12号のほかに2つ熱帯低気圧があります。

2022年9月11日午前9時の地上天気図(ウェザーマップ作画、筆者加工)
2022年9月11日午前9時の地上天気図(ウェザーマップ作画、筆者加工)

 日本列島の北側に高気圧、南側に低気圧がある気圧配置を「北高南低」と言います。日本の南海上の気圧が相対的に低いことから、熱帯じょう乱が発生しやすくなっています。

偏西風の遅れは来月も

 また、高気圧や低気圧の動きにも特徴があります。高気圧は西から東に向かって移動していますが、低気圧は逆の東から西に向かって進んでいます。これは季節の進みを示す偏西風の南下が遅れていることを表しています。

 台風12号、そして次に影響する台風がいつになるのか、見通しははっきりしませんが、偏西風の遅れは来月まで続く可能性が高いです。

【参考資料】

気象庁:全般季節予報支援資料 1か月予報、2022年9月8日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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