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NY原油17日:需給緩和を蒸し返し、期近主導で反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油12月限 前日比1.07ドル安

始値 41.96ドル

高値 42.03ドル

安値 40.58ドル

終値 40.67ドル

国際原油需給の緩和見通しが蒸し返される中、期近主導で反落した。

フランスの同時テロで地政学的リスクの高まりが警戒される中、前日の原油相場は安値是正の動きが優勢になった。しかし、本日はアジアタイムから戻り売り圧力が強く、終日下値切り下げを打診する展開になっている。前日安値40.06ドルを窺うまでの勢いは見られなかったが、米原油在庫の増加傾向が示されることに対する警戒感も強く、再び40ドル台に突入している。

本日は特に目立った材料は見られなかったが、明日の米石油需給統計で在庫積み増し傾向が示されることに対する警戒感が、上値を圧迫している。米原油在庫の市場予測は前週比+227万バレルとなっており、前週の+422万バレルからは増加幅を縮小するものの、在庫積み増しトレンドは維持されるとの見方が支配的。製油所稼働率は着実な上昇傾向を示す見通しだが、季節要因から在庫の大幅な取り崩しを促すには至らないとの見方が、改めて原油相場の上値を圧迫している。

前週に国際エネルギー機関(IEA)が過去最大規模の在庫環境を報告したことも、引き続きネガティブ。同時テロで地政学的リスクを意識したものの、現実の原油供給環境に何か大きなリスクが高まっている訳でもなく、改めて需給緩和状態・見通しがクローズアップされ易くなっている。

引け後にAPIが発表した原油在庫は前週比-48.2万バレルとなっており、在庫積み増し傾向を再確認することに失敗しており、原油相場は41ドル台まで反発している。このまま季節要因から在庫の取り崩しが本格化すると、原油相場は一定のリバウンドを見せる可能性はある。ただ、通常の在庫取り崩しであれば需給緩和フレームに修正を迫ることは難しく、原油相場は弱気バイアスの強い展開が続く見通し。為替がドル高トレンドを維持していることも、ドル建て原油相場に対しては強力なネガティブ材料になる。

来年までも見据えた中長期スパンであれば、40ドル割れから更に突っ込んだ局面では、物色妙味もあると考えている。これ以上に大きく値下がりしなくてもタイトオイル分野で生産調整が始まる価格水準であり、更に大きく値位置を切り下げる必要性は乏しい。ただ、本格的に原油安を是正するシナリオが描けない状況にも変化はなく、安値ボックス気味の相場展開が維持される見通し。40ドルの節目でどの程度のサポートが見られるのかが打診される。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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