ゴルフ中継に新境地?ノーマンの新ツアー初戦は放映権契約なしで中継OK?ユーチューブも触手?
ゴルフ界のレジェンド、グレッグ・ノーマンが創始しようとしている新ツアー「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」が「課題」に直面している。
新ツアーの初戦は、6月9日から11日の3日間、ロンドンのセンチュリオンCCで開催予定。出場者の枠は48名とされているが、ノーマンいわく「PGAツアー(米ツアー)から80名、DPワールドツアー(欧州ツアー)から40名、両ツアー以外からの出場希望者を含めると、200名超がエントリーフォームを提出済み。人数を制限させてもらうことになる」とのこと。
エントリーした選手の中には、フィル・ミケルソン、セルジオ・ガルシア、リー・ウエストウッド、マーチン・カイマーなど、ビッグネームもメジャー・チャンピオンも元世界一も含まれている。
しかし、いわゆる有名選手は決して多くはなく、エントリーしている有名選手の大半は若くても30歳代、中心層は40~50歳代で、ヤング・プレーヤーはアマチュア以外は皆無に近い。
昨今の米欧両ツアーでは選手たちの若年化に拍車がかかっている一方で、新ツアーとして創設されるリブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズへの参加希望者は、アスリートの年齢という意味では、ツアー創始前から「高齢化」が見られることは、ノーマンにとって気がかりな傾向に違いない。
だが、ノーマンが今、それ以上に気がかりなのは、初戦となるロンドン大会まで、あと1か月を切った今、この期に及んでTV中継の算段がついていないことだ。
リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズのTV放映権を巡っては、「FOXスポーツが契約交渉をしている」と報じられたが、後に「交渉は決裂した」という認識が業界内で広まった。その後、契約交渉のテーブルについたメディアは数社あったと見られているが、いずれも契約成立には至らなかった。
PGAツアーと長年、深い関りを持つNEPグループが「契約間近だ」という報道もあった。
しかし、現状では、TV放映権契約は、未定の状態だ。
なぜ、なかなか契約が成立しないのかは、ある意味、謎だが、考えらえる原因の1つは、ノーマンのツアーを資金面でバックアップしているサウジアラビアの政府系ファンドの存在や社会的な評判が欧米メディアに二の足を踏ませていると推測されること。
そして、もう1つの原因は、48名がショットガン形式で一斉にスタートするフォーマットの試合を生中継する手法や技術に、どのメディアも不慣れであることが考えられる。
いずれにしても、TV中継が宙に浮いたままでは、たとえメジャー・チャンピオンや元世界一が何人いようとも、世界中の大勢の人々に観戦してもらうことは難しくなる。
そこでノーマンが世界に向かって提案しようとしているのは、初戦のロンドン大会に限っては「希望するメディアに、放映権契約なしで、無料で放映させる」という実に太っ腹なオファーだと英国紙テレグラフは報じている。
同紙によれば、「すでにユーチューブ・チャンネルが、独自のプラットフォームを活用してロンドン大会を中継することを検討し始めている」とのこと。
「契約フリーで中継可」というこのオファーは、TV中継なしで初戦を開催するわけにはいかないというノーマンにしてみれば、「背に腹は代えられない」という気持ちで捻り出した苦肉の策なのかもしれないが、案外、このトライアルはゴルフの中継の世界に新境地を開くこともありそうに思える。