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『スカイキャッスル』でセレブ妻の娘役の新井美羽 「怖い顔をしすぎて目の周りの筋肉が発達しました」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
『スカイキャッスル』に出演中の新井美羽 (トップコート提供)

セレブ妻たちのマウントバトルから思わぬ展開で最終章に入る『スカイキャッスル』。受験生の子どもたちの争いも熾烈だが、松下奈緒が演じる主人公の娘役が新井美羽。子役時代には朝ドラや大河ドラマで主人公の幼少期を務め、現在は17歳。今回は学年イチの秀才だが自己中心的で極度の負けず嫌いという役で、感情を剥き出しにしたりも。これまでにない役への取り組みと自身の成長について聞いた。

小さい頃から自分のお芝居を冷静に観ていて

――芸歴は2歳からだそうですが、仕事の記憶があるのは何歳くらいですか?

新井 4歳のときの初ドラマ『謎解きはディナーのあとで』からですね。控え室の様子まで覚えています。小屋みたいなところで撮影していて、カメラとかマイクとか見たことのない機械があって、「これはどうなっているんだろう?」と興味津々だった記憶があります。

――小学生時代には、朝ドラ『わろてんか』や大河ドラマ『おんな城主 直虎』に主人公の幼少期の役で出演していました。

新井 家族がテレビを観て「美羽が朝ドラに出ている!」と喜んでくれたり、学校でみんなに「観たよ」と言ってもらえるのが嬉しかったです。放送の前の日から「どんな反応をしてもらえるかな」と楽しみでした。

――美羽さん自身ははしゃぐ感じではなくて?

新井 「わーっ、私が出てる!」みたいなことはなかったです。自分のお芝居を振り返って「こういうふうに映っていたんだ」とか、冷静に観ていたと思います。

トップコート提供
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子役の演技のままでは通じなくなって

――テレビを観るようになる前に、自分が出ていたわけですよね。

新井 気づいたら、このお仕事をしていた感じです。テレビも観ていましたけど、撮影現場に行って自分で演じることが好きでした。小さい頃はお仕事というより、自由にやらせてもらっている感覚だった気がします。

――自分の中で、演技の面白みを特に感じた作品もありますか?

新井 いろいろな経験をさせてもらったのは『おんな城主 直虎』ですね。初めての大河ドラマで、台詞回しや所作はもちろん、乗馬とか太鼓とか覚えることがたくさんあって。おてんばな役で、崖に行ったり水浸しになったりもして、こんなにいろいろやらせてもらえるんだと、楽しさを知りました。

――子役からの脱皮に悩むような時期はなかったですか?

新井 ありました。子役の演技のままで中高生の役をすると、何かうまくハマらない。言葉に芯が通らないというか、台詞をただ抑揚を付けて言っているように聞こえてしまって。「何か違う」と思っていた時期がありました。

――その頃はオーディションにも受からなかったり?

新井 そうなんです。子役のときの「こうすれば受かる」みたいなことが通じなくなって。自分でもダメなのはわかっていたので、一刻も早く直さなきゃと、ワークショップで演技を1から鍛え直してもらいました。

お金持ちのドラマは好きだったんです

――『スカイキャッスル』の瑠璃役もオーディションだったんですか?

新井 そうです。瑠璃と(シングルマザーの娘で成績トップを争う)未久、どちらも演じました。瑠璃のほうは作品の中でも特にハードなシーンで、私が受けたのが朝イチの8時か9時でしたけど、そんな早朝からすごい大声で泣きわめいて(笑)。スカッとして楽しかったのを覚えています。

――自分でも瑠璃役に手応えがあったと。

新井 絶対に受かりたいと思っていました。原作の韓国版ではイェソという役で、すごく魅力的だったので。自分なりに研究して、たくさん練習して挑みました。

――もともと韓国版の『SKYキャッスル』を観ていたんですか?

新井 オーディションがあると聞いてから観ました。でも、韓国ドラマのお金持ちの話は好きだったんです(笑)。『キング・ザ・ランド』だったり、『愛の不時着』の女性も財閥の社長でしたよね。キラキラした家や衣装に憧れがあって、『SKYキャッスル』も観た瞬間、「私の好きなやつだ!」と思いました(笑)。

――浅見家の広い家もそういう世界ですよね。

新井 見たことがない、まさに憧れの家でした。でも、実際に住んだら落ち着かない気もします。フローリングで寝転がったりできなさそうなので(笑)。

(C)テレビ朝日
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私もテストの点数が落ちたら悔しいです

――美羽さんが「魅力的だった」という瑠璃は、「極度の負けず嫌いで自己中心的な性格」というキャラクター。意志が強い子の役は多いですね。

新井 最近は自分の考え方をちゃんと持っている役が多いです。正義感も強かったり、瑠璃のような怖い感じはなかったんですけど(笑)、感情がハッキリしている役はやりやすいです。

――負けず嫌いな部分は美羽さんにもありますか?

新井 あります。妹とマリオカートをやって1位にならないと機嫌が悪くなって「もう1回!」とやり続けますし、オーディションでも絶対負けたくないです。テストも1回高い点数を取ったら、そこから落としたくありません。

――勉強も頑張っているんですね。

新井 瑠璃ほどではないですけど(笑)、点数が落ちたら悔しいし、お仕事で勉強する時間が取れないことを理由にしたくないんです。テスト勉強はリビングで妹と一緒にしています。携帯をいじっていて、妹が勉強していると「ヤバい! 私もやらなきゃ」と刺激になるので。

(C)テレビ朝日
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一番暴れたシーンはギャーギャー叫んで

――瑠璃は学年1位から3位に落ちて、「初めての屈辱」とすごく怖い顔をしていました。

新井 そうでしたね。気持ちはわかりますし、この作品に入ってから怖い顔をしすぎて、目の周りの筋肉が発達した気がします(笑)。目に力を入れて、眉毛の可動域も増えて。最初の頃は、普段使わない筋肉を使う感覚だったのが、もう自然にそんな表情になっているみたい。意識してなくても「今の顔は怖かった」と言われることがあります(笑)。

――成績が上がらず、お母さんを泣きながら突き飛ばしたり、瑠璃は情緒不安定になってきました。

新井 途中からはずっと怒ってばかりで、一番暴れたシーンでは顔だけでなく体全体を使っています。あんなにキーキーしてギャーギャー叫んだのは初めて。放送でどうなっているのか楽しみです。

――普段はそんなに感情を爆発させることはないでしょうけど。

新井 家で練習もできないんです。すごく大きい声で叫ぶので。だから台詞を覚えるくらいで、ぶっつけ本番で全集中します。お互い言い合って生まれる感情なので、練習しすぎないほうがやりやすいところもあります。

(C)テレビ朝日
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マウントを取る台詞に気持ちが入りました

――負けず嫌いの話も出ましたが、未久役の田牧そらさんは同い年の子役出身同士。もともとライバル意識もあったんですか?

新井 ライバルという感じではなかったです。同年代の同業の女の子とは、お仕事の話もできるので仲良くしたくて。そらちゃんもオーディションとかで何度も会っているので話しやすくて、ぶつかるシーンも遠慮なくできました。

――未久は同級生の青葉を巡る恋敵でもあって。最初はチクチク言い合う感じだったのが、未久のお母さんが亡くなって浅見家で一緒に暮らすようになってから、対立が激しくなってきました。

新井 マウントの取り合いをしていると、すごくイヤなヤツになるんです(笑)。撮り終わったら、2人とも笑ってしまうくらい。友だちに絶対しないレベルのことをしているので。私、『スカイキャッスル』をやるうえで、参考とモチベーションを高めるために、『ゴシップガール』を観ていたんです。

――あれもセレブな高校生たちの話でした。

新井 やっぱり私はお金持ちの話が好きで(笑)、『ゴシップガール』では恋人を巡る争いもあって。「こんなキラキラした世界に私もいるんだ」と思うと嬉しくなります。瑠璃は未久にマウントを取るために、「私はスカイキャッスルに住んでるのよ」みたいな台詞が多いので、気持ちも入りました。

(C)テレビ朝日
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やり合っても疲れてしまうので折れます

――実は未久の父親は瑠璃の父の英世。英世自身も知らない秘密ですが、未久は揺さぶりを掛けて、マウントを逆転させようとしてきました。

新井 瑠璃は最終的に未久に負けることが多いんです。それで悔しくて、未久を背後から睨む(笑)。

――青葉も未久のことが好きなようで。

新井 青葉に対しては、瑠璃は乙女全開で接していて、そこだけは純粋な笑顔を見せています。そんなときもたいてい未久に邪魔されるので、結局は怖い顔をしています(笑)。

――そういう顔を自分でテレビで観ると、どう思いますか?

新井 世に出したことのない悪い顔だなと思います(笑)。

――美羽さんにも、瑠璃みたいな形でなくても、反抗期とかはありました?

新井 なかったです。親と激しい喧嘩をしたこともありません。お互い冷静に話して、こっちが悪かったら「確かにそうだね」って。感情的にぶつかり合うことはないです。

――大人ですね。

新井 どうなんですかね。すぐ折れてしまうほうなんです。これ以上やり合っても疲れてしまうと思って、「ハイ」となることもあります。

演じる自分に身を任せる感じで

――他に『スカイキャッスル』の撮影で、印象的だったことはありますか?

新井 撮影初日に、学校に迎えに来てくれたお母さんに「早く新しい受験講師を見つけてよ!」と言うシーンがあって。バンバン言わなきゃいけなくて、どうしようと思っていたんですけど、意外と自分の中でスカッとする感覚で言えました。そこで「瑠璃ってこんな感じかも」と掴めた気がします。

――その後も、演技で悩むことはないですか?

新井 感情に動かされて爆発するシーンが多いので、演じる自分に身を任せる感じです。泣くお芝居には苦手意識がありますけど、感情が湧きやすい台詞と現場の空気感で、いつもより泣きやすくて。それより(受験コーディネーターの)九条先生とのシーンが、心の中の葛藤があって難しいです。

――演出もいろいろ入りますか?

新井 最初のほうは「次はこうやって」という指示も多かったんですけど、途中からはあまりなくて。自然にできているみたいです。

――最終章も見どころが多そうですね。

新井 後半にギュッと詰まっています。1話の展開がどんどん速くなるので、より目が離せないと思います。

(C)テレビ朝日
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体育祭の実行委員を毎年やってます

――高校の夏休みは、ほぼ『スカイキャッスル』の撮影一色でした?

新井 撮影が終わったら、3日間、台湾に行ってきます(*取材は撮影終了前)。一緒に行く友だちが台湾とのハーフで、向こうにおじいちゃん、おばあちゃんがいるので、案内してもらおうかと思っています。

――お目当てもあるんですか?

新井 私はあまり台湾に詳しくなくて。地元の人しか知らないおいしいごはん屋さんに、連れていってもらいたいです。

――普段は学校生活も楽しんでいますか?

新井 お仕事のスケジュールの中で、できる限り楽しんでいます。行事が大好きで、出られるかもわからないのに、実行委員に立候補しちゃって(笑)。一番楽しめるのが体育祭の実行委員で、高校生になってから毎年やっています。準備をしたり、種目を決めたり、前に立って競技の説明をしたり。身長も低いので競技では活躍していませんけど(笑)、盛り上がって参加しています。

文化祭のダンスはアイドルになった気分

――文化祭での思い出もありますか?

新井 ダンス部で毎年発表をしています。文化祭の最後の時間帯にやるので、全校のみんなが体育館がパンパンになるくらい集まってくれるんです。ペンライトを振って、音楽が聞こえないほどキャーッと歓声を送ってくれて、アイドルになった気分です(笑)。

――ダンス部の練習にも普段から参加していて?

新井 大きい大会の練習には参加しにくいんですけど、練習期間の短いコンクールには頑張って出ています。中学生のときは全国大会にも出場しました。

――学校の人たちとは、どんなふうに接しているんですか?

新井 普通に「インスタ見たよ」くらいの感じで「ドラマ面白かったよ」と言われます。みんな、私がお仕事をしていることは気にしてなくて、「そう言えば女優さんをやっていたね」くらいの感覚でいてくれます。

――『スカイキャッスル』の学校での評判はいかがですか?

新井 夏休み中で直接聞けてなかったんですけど、「相当悪い役だね」みたいな連絡は来ます(笑)。学校が始まってから、感想を聞くのが楽しみです。

トップコート提供
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先を決めず自分がどうなるかを楽しみに

――9月17日には18歳になりますが、これから磨いていきたいことはありますか?

新井 今回、自分と掛け離れた役を演じて、やり甲斐をより感じました。今までは自分と近い女の子の役が多かったんですけど、これからは職業を持っている役もあると思うので楽しみです。もっと激しい役やアクションもやってみたいです。

――ダンスをやっているのが活きるかもしれませんね。

新井 体は動くと思います。ハン・ソヒさんの『わかっていても』と『マイネーム』を2本続けて観たら、恋愛ものとアクションで全然違う演技をしていて、すごくカッコ良くて。私もバンバン闘いたいです。

――5年後や10年後の自分もイメージしていますか?

新井 『スカイキャッスル』みたいなドラマに出ることも、1年前は思ってもいませんでした。自分にとって楽しい作品、やり甲斐のある作品に出会えて、成長できている実感があります。だから先を決めず、自分がどうなっていくのか、楽しみにしています。

近い夢はひとり暮らしをすることです

――芸能以外での夢はないですか?

新井 近い話で言うと、ひとり暮らしをしてみたいなと思っています。1人で2週間とか地方ロケに行っても、ホームシックにならずに楽しめたので、できるんじゃないかと。東京に住んでいて、今の家で不便はないですけど、自分で物件や家具を選んでみたくて。

――北欧調の家具を置きたいとか?

新井 特にそういうのはないです。ただ、これはここに置くとか決めて、整頓しておきたくて。自分だけの空間があって、好きな時間にお風呂に入って、好きなごはんを食べて……という生活をしてみたいです。

――今の自分の部屋も整頓されているんですね。

新井 それが、ここに何か置きたいと思っても、汚くなってしまって(笑)。まずそこからですね。

トップコート提供
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Profile

新井美羽(あらい・みう)

2006年9月17日生まれ、東京都出身。2歳から芸能活動を始め、2011年に『謎解きはディナーのあとで』でドラマデビュー。主な出演作はドラマ『捨ててよ、安達さん。』、『愛しい嘘~優しい闇~』、『100万回言えばよかった』、『彼のいる生活』、映画『ディア・ファミリー』など。ドラマ『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)に出演中。

木曜ドラマ『スカイキャッスル』

テレビ朝日系 木曜21:00~

公式HP

(C)テレビ朝日
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芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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