iPhoneに「死にたい」と相談すると宗教団体『幸福の科学』へと誘導される問題(追記あり)
iPhoneの音声認識アシスタント『Siri』に「死にたい」と相談すると、なぜか宗教団体『幸福の科学』の勧誘サイトへと誘導されてしまう問題が発見されました。
この問題は「死にたい」とSiriに喋りかけると「自殺防止」の検索キーワードで『Bing』の検索結果が案内され、その結果として幸福の科学による自殺防止サイトへと誘導してしまうというものです。
自殺防止サイトでは、「ウツ」、「職場の人間関係」、「受験の失敗」などさまざまな悩みに対して「苦しみを乗り切るためのヒント」を提供していますが、いずれも最終的には創始者である大川隆法氏の著書や幸福の科学のラジオ番組へと誘導されます。
もちろん、自殺について悩んでいる人にとって宗教が助けになることもありますが、iPhoneのように大勢の人が利用している製品が最初に行政機関による対策先ではなく特定の宗教へと案内してしまうのは問題だと言えます。
Siriの担当者は「死にたい」で相談する人に対して「自殺防止」の検索結果を表示することで自殺を食い止めようとしたのだとは思いますが、Bingの検索結果まではチェックしきれていなかったようです(幸福の科学によると、同サイトは09年から運営しているとのことです)。
「死にたい」の検索キーワードにおける問題
「死にたい」の検索キーワードについては、先月末にDeNAのキュレーションサイト『welq(ウェルク)』が同ワードでサイトへの集客し、アフィリエイト収入を得ていたことも問題視されていました。
「死にたい」検索トップの「welq」の記事、DeNAが広告削除 「不適切」指摘受け(ITmedia ニュース)
指摘を受けてwelq側は記事からアフィリエイト広告を削除する対応を行いましたが、「外部ライターが作成した記事であり、内容は規約上問題ない」として記事そのものは残す対応を取りました。
しかし、この対応をめぐっては「死にたい」というキーワードで検索するような配慮するべき人に対して、企業が無責任な記事を提供するのは良いのかという新たな指摘も出ています。
無責任な医療情報、大量生産の闇 その記事、信頼できますか?(BuzzFeed JAPAN)
こういったセンシティブなキーワードで検索する悩みを抱える人に対して、企業がどのように対応していくのか? その是非が今、問われています。
11月13日22時46分追記
SNSなどで「Bingの責任であってSiriは問題ないのではないか?」とのコメントを頂いていますが、Siri側が「死にたい」の検索キーワードに対して特別な対応を取った結果、宗教団体のサイトへと誘導してしまうことになっているのが問題だと考えています。
状況の説明としては次の通りです。
- Siriに「死にたい」と喋りかける
- Siriは「死にたい」ではなく、キーワードを「自殺防止」に変換して検索結果を表示する
- そのキーワードはどの検索エンジンでも宗教団体が1位(位置情報によって異なる場合があります)。
- 「死にたい」そのままのキーワードの場合、YahooとGoogleは行政機関の相談窓口を案内している。Bingはそのまま。
- 検索結果の変更はSiriにはできないため、「死にたい」を「自殺防止」に変換する特別な対応を取っているのであれば、行政機関の窓口を案内するなどもう一歩踏み込んだ対応を取っても良いのではないか?
本来であれば記事全体を書き直すべきですが、すでにある程度拡散してしまっているため追記するかたちでの対応としました。
11月15日17時13分追記
幸福の科学より「自殺防止サイトが果たしている人命救済の機能を損なうことにならないよう、充分に留意していただきたい」との要望を受け取りました。
本記事の趣旨は「iPhoneが自殺を考えている人に対して最初に案内するサイトが検索結果任せであることは問題ではないか?」であり、宗教団体が自殺防止の観点から運営するサイトの評判を貶めることは目的ではないため、記事に加筆・修正を行いました。