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ウクライナ副首相「ロシア軍からのハルキウ解放のゲームチェンジャーはドローン。"鳥たち"は強い味方」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ウクライナ東部や南部でウクライナ軍が反転攻勢を続け、ウクライナのゼレンスキー大統領は2022年9月、東部ハルキウ州では、ほぼ全域を解放したと宣言して「大きな勝利だ」と語っていた。

そのようなウクライナ軍の反転攻勢によるハルキウ奪還について、ウクライナの副首相兼デジタル化担当大臣のミハイル・フェドロフ氏は自身のSNSで「ドローンがゲームチェンジャーになりました。ロシア軍からのハルキウ解放と南部での交戦の始まりにおいて"鳥たち(Birds)"がウクライナ軍の強い味方になったことは明らかです」と投稿していた。ウクライナ公共メディアが製作したドローンでのロシア軍攻撃の動画も掲載していた。

ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

ウクライナ軍は紛争開始直後から、軍事ドローンでトルコ製「バイラクタルTB2」でロシア軍へ攻撃を行っていた。「バイラクタルTB2」は大型攻撃ドローンで爆弾を上空から落として攻撃するので破壊力もあり、ロシア軍へのダメージも大きくロシア軍の装甲車を上空から破壊して侵攻を阻止することにも成功したり、黒海にいたロシア海軍の巡視船2隻をスネーク島付近で爆破したりとインパクトも大きい。ウクライナ国民にも大人気で「バイラクタルTB2」での攻撃が成功するとウクライナ軍が動画や写真をSNSで世界中にアピールしている。またリトアニア市民やポーランド市民からも「バイラクタルTB2」購入のための寄付が集まっていたが、「バイラクタルTB2」を開発しているバイカル社が無償で提供している。

トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」だけでなく、攻撃ドローンとしてはポーランド政府が提供しているポーランド製の「WARMATE」、米国バイデン政権が提供している米国製の攻撃ドローン「スイッチブレード」も実戦で活用されて、多くのロシア軍の戦車などに攻撃を行っている。またウクライナ軍のドローン部隊が開発しているウクライナ製の攻撃ドローン「R18」による爆弾投下もロシア軍攻撃に貢献している。

さらに最近では小型民生品ドローンに爆弾を搭載してロシア軍の戦車などを発見したら上空から爆弾を投下して破壊している。小さくて安価ながらも破壊力があり効率的に戦車や輸送トラックなどを攻撃して、ロシア軍にダメージを与えている。

そして多くの民生品ドローンがウクライナ市民からも提供されて監視・偵察に貢献しており、「上空の目」としてロシア軍の動向を監視・偵察している。そのような監視・偵察ドローンでロシア軍の動向を把握してから、ミサイルを大量にロシア軍陣地に撃ち込んで攻撃も行っていた。

監視・偵察だけでなく攻撃も含めてドローンが紛争でここまで多く利用されたのは歴史上初めてである。ウクライナ軍ではほぼ毎日ロシア軍への攻撃とその状況をSNSで公開しているが、2022年2月24日にロシアが軍事侵攻してから、ウクライナ軍は戦車約2200台、装甲戦闘車約4720台、トラックなど輸送車約3580台、砲兵約1310台を破壊している。多くが上空からドローンによる攻撃で破壊している。

ロシア軍も監視・偵察および攻撃でドローンを多く使用している。ロシア軍はロシア製のドローンを多く利用していたが、最近ではイラン政府がロシア軍に提供した攻撃ドローンも利用している。だがウクライナ軍によって多くのロシア軍のドローンは撃墜されている。ウクライナ軍のドローンもロシア軍によって多くが撃墜されてきたが、それでも諸外国からの軍事支援やウクライナ市民や周辺諸国の市民からの寄付などで次々とドローンを戦場に投入している。

▼ウクライナ軍によるロシア軍へのドローンによる攻撃

▼ウクライナ軍のドローンプログラムにも登場した聖ジャベリン

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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