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日本代表、勝負の一戦。プランを言うのは「難しい」。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
姫野はナンバーエイトで先発(写真:REX/アフロ)

 ラグビー日本代表は現地時間28日、スタジアム・ド・トゥールーズでワールドカップフランス大会・予選プール第3戦をおこなう。同26日、出場メンバーを発表した。

1,稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/6/2・51

2,堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1986/1/21・74

3,具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)…183・117・1994/7/20・27

4,ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・110・1994/10/13・18

5,アマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)…195・118・1994/12/7・5

6,リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)…189・113・1988/10/7・82

7,ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…189・106・1989/1/11・17

8,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…187・108・1994/7/27・30 ◎

9,流大(東京サントリーサンゴリアス)…166・75・1992/9/4・36

10,松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…181・92・1994/5/3・35

11,ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)…177・95・1994/4/12・6

12,中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)…182・92・1991/6/3・37

13,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・102・1997/5/2・16

14,松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)…178・88・1993/2/26・53

15,レメキ ロマノ ラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛)…178・96・1989/1/20・18

16,坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1993/6/21・39

17,クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/10/29・15

18,ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・115・1989/5/7・28

19,ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)…201・117・2002/4/11・9

20,下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)…188・105・1999/1/17・4

21,齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)…165・73・1997/8/26・17

22,李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)…176・85・2001/1/13・10

23,長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…179・90・1999/11/25・6

 17日にイングランド代表に12―34で敗れた第2戦から、先発を2名、入れ替え、先発のフルバックには今大会好調のレメキ ロマノ ラヴァが初先発。リザーブでは李承信が初めてメンバーに入った。

 相手はサモア代表。今年7月に札幌ドームで22―24と惜敗。今大会では予選プールDで5チーム中2位。日本代表は3位となる。

 メンバー発表を受け、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチと姫野和樹主将が会見した。

——前回、黒星を喫した。

ジョセフ

「4年で戦略が変わった。4年前とは状況が違うので、イングランド代表に対して戦略を完全には遂行できなかった。今回はどう集中してプレーヤーの力を出せるかに集中した。サモア代表は経験値の高いチーム、どんな戦略でやるかがしっかりとしている。4年前の同じ相手よりもレベルが上がったと思っています。

 彼らは、札幌で私たちが負けてから色々と経験を積んでいる。アルゼンチン代表に対してよくできていた。ただ我々も頑張って勝てるようにしたい。色々と今週もプランを練っていく。イングランド代表戦では後半に色んなトラブルがあったが、それを経験として次に活かしたい」

姫野

「サモア代表戦は僕たちにとって重要です。ただ、このデスゾーンで、こういうシチュエーションになることは予想していました(日本代表は今大会への挑戦をエベレストに見立て、本戦は難所のデスゾーンとする)。厳しい戦いになるとわかっていた。そのために準備をしていた。チームに自信は感じます。日程的にもリフレッシュする時間があった(中10日のため最初の2日を休養に充てられた)。ここはいいアドバンテージになるかと思います(サモア代表は22日に試合をしており、中5日で登場)。切り替える時間が十分にあったのが大きかったです。イングランド代表戦まで準備をしていて、(負けて)残念な気持ちが強かったですが、ここから立ち直る時間は十分にありました」

——サモア代表への印象は。

姫野

「ジェイミーが言ったようにレベルが上がっていると思います。フィジカルを活かしていて、経験がある選手がいてゲームのコントロールに長けている。容易ではない相手ではある。ただ、自分たちには勝つプランがある。それを100パーセント信頼し、遂行したいです」

——勝つプランとは何か。それをするうえで、どんなプレーが大事になるか。

姫野

「難しいな…。自分たちのプランはありますけど、それをまずは実行できるかがキーになる。チーム全体が同じ絵を見て、自分の役割をやる。ただただハードワークするんじゃなくて、自分の役割を100パーセント遂行しきる。イングランド代表戦でもそこが大事に感じた。ジェイミーやブラウニー(トニー・ブラウンアシスタントコーチ)を信頼しています。プランはある。あとは選手が遂行力を持って実行していく」

 他の選手の証言からは、エリア管理の不得手なサモア代表をキックで背走させるイメージが浮かび上がる。

——「自信がある」。どこから感じるか。

姫野

「チームでご飯に行っている時もそうですが、イングランド代表戦の結果は残念でしたけど、全員が勝てると思えたし、実際にそこまで行った。そういうところから、自身が見えると思います」

——防御での手応えは。

姫野

「自分たちの強みであるコネクションをしっかり持って、コミュニケーションを取ってディフェンスすれば、ダブルタックルができ、コリジョンを封じられる。イングランド代表戦でも通じた部分だし、サモア代表戦でも通用すると思います」

——タックルの精度が高かった。本大会から逆算して鍛えて来たのか。

ジョセフ

「タックルは残念ながらいくつか失敗した。あのレベルの相手にはタックルを集中してやっていかないといけない。イングランド代表に十分に圧力をかけられなかった。圧力下で選手が力を発揮できるよう準備したいです」

姫野

「もちろん、この大会のためにディフェンス強化をしてきたので。ジョン(・ドネヒュー=6月の客員コーチとしてハードなトレーニングを実施)のきついタックル練習が実を結んでいなかったら嫌です。6~7月を通し、この大会に向けてそのコンタクト強度について(トレーニングを)やってきたので、成果が出ていると思います」

——ご自身は落ち着いているように感じるが。

姫野

「いいリフレッシュができたんじゃないかと。トゥールーズの町はいいし、素晴らしい待遇を受けているので、リフレッシュする環境があるのは間違いない。

 またひとつ言えるのは、僕にとってのワールドカップ初戦のイングランド代表戦を終えたことで、緊張がほぐれたということもあるかもしれません」

——センターのコンビをチリ代表戦時と同じコンビに戻した。また、もともとバックアップ組だった下川甲嗣選手を3戦連続でメンバーに入れている。

ジョセフ

「センターは難しい位置。いままでのそれぞれの選手の能力によって選んできた。選手は時として間違えるが、だからと言って悪い選手と言えるわけではない。ディランは(初戦で)圧力下で力を発揮できなかったので代えた(イングランド代表戦ではベンチスタート)。

 試合ごとのストレスに対応できるよう選手を選んでいます。選手同士では大変いいコミュニケーションが取れている。

 下川は大変いい。ロックを含め3つの位置ができ、バックロー(フォワード第3列)としての交代選手としてはよい」

——初先発のレメキ ロマノ ラヴァ選手、リザーブに入った李承信選手について。

ジョセフ

「レメキはこのレベルでしばらくやっていなかった選手ですが(昨年までで最後に代表に入ったのは2021年)、素晴らしいプレーができた。

 色んなポジションができる選手を組み合わせた。李承信はまだ若いが大変有望。ときどき、試合によってあまり能力を発揮できない時もあるが、有望なので、自信を持ってこれから成長していける」

——堀江選手について。

ジョセフ

「色んな位置ができる。慣れるには時間が必要かもしれない。堀江は、このレベルでのラグビーがほぼ4年ぶり(2022年夏に限定的に代表復帰も出番が限られた)。時間をかけて潜在力を示している。(堀江と同じ位置の)坂手淳史もいいプレーをしている。誰がスタートするか。この位置に関しては、戦術上の重要な影響があるとは思えない」

姫野

「プレーはご存じの通り。彼の経験値、リーダーシップが僕にとっては心強い。経験もあり、状況が読める。ラグビーのナレッジも高い。試合でもよい声をかけてくれますし、チームに不可欠な存在になっています」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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