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ウクライナ製監視ドローン「LELEKA-100」サーマルカメラ搭載で夜間にロシア軍の状況を的確に把握

佐藤仁学術研究員・著述家
ウクライナ製の監視ドローンLELEKA-100(ウクライナ軍提供)

「昼間の明るい時よりも暗い夜の方がサーマルカメラではっきりと上空から敵の様子がわかります」

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生品ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

そんななか、欧州メディアのラジオ・フリー・ヨーロッパが夜間にウクライナ製の監視ドローン「LELEKA-100」を使用してロシア軍の状況を偵察している部隊を紹介していた。LELEKA-100にはサーマルカメラが搭載されているので夜間でも上空からロシア軍の塹壕付近での人間の動きや軍事施設や戦車の場所などが明確に読み取れる。そして監視ドローンによって上空からはっきりとロシア軍の状況が確認されたところにミサイルや別の攻撃ドローンなどで的確に攻撃を行っている。ウクライナ兵は「昼間の明るい時よりも暗い夜の方がサーマルカメラではっきりと上空から敵の様子がわかります」と語っていた。

夜は見張りの兵士は起床しているが多くの兵士は塹壕の中などで寝ていることが多い。昼夜交代で働いていても夜の方が頭と身体は鈍っている。敵からの攻撃で目が覚めても反応するまでに時間がかかる。また監視ドローンの多くは探知されるとすぐに迎撃されてしまうが、夜は暗くて見えにくいので上空の監視ドローンを探知しても迎撃されにくい。奇襲するには夜の方が適している。ロシア軍もイラン製軍事ドローンでウクライナを攻撃してくるのは夜間や早朝が多い。

ウクライナ軍では他にもドローン部隊「エアロロズヴィドカ(Aerorozvidka)」が開発しているウクライナ製の攻撃ドローン「R18」による爆弾投下はロシア軍攻撃に貢献している。「R18」もサーマルカメラが搭載されており夜間にロシア軍の歩兵戦闘車などを攻撃するのに最適である。

▼ウクライナ軍の夜間の偵察の様子を伝えるラジオ・フリー・ヨーロッパ

▼ウクライナ製の監視ドローンLELEKA-100

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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