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【全豪OPテニス】祈りの大坂なおみ、「意思の力」で勝ち上がった2大会回連続グランドスラム決勝の舞台

内田暁フリーランスライター
(写真:Shutterstock/アフロ)

■全豪OP準決勝 大坂なおみ 6-2,4-6,6-4 K・プリスコワ■

 歓喜の笑顔は“祈り”を挟み、2度、センターコートで弾けました。

 1度目は、マッチポイントで179キロのサービスをセンターに叩き込み、勝利を確信したその時。

 2度目は、そのサービスへのアウトコールに“チャレンジ(ビデオ判定)”し、スクリーンに映し出されたボールが、僅かにラインに掛かっていた時。

「ありったけのパワーを引き寄せ、ボールが入っていることを祈った」。

 スクリーンにリプレイが映し出される間、人事を尽くした彼女は、ただ天命を待ちました。

 試合立ち上がりから大坂は、完璧なプレーを披露したと言えるでしょう。「安定感に欠ける」と、やや不安を抱くバックハンドがこの日は好調。「相手が、私のバックを狙ってくることはわかっていた」と言う大坂は、クロスの打ち合いからダウンザラインへと仕掛け、次々にウイナーを奪います。第1セットは、6-2。Ka・プリスコワは「私にできることは、何もなかった」と舌を巻きました。

 

 第2セットも優勢に立つ大坂は、いきなりのブレークで主導権を掌握。しかし、準々決勝のセレナ戦で4度のマッチポイントを跳ね除け驚異の逆転勝利を手にしたプリスコワは、簡単に引き下がりません。大坂の2ndサービスを果敢に叩き、即座にブレークバックに成功。5-4からの第10ゲームもブレークした長身の第7シードが、第2セットを奪い返しました。

 第2セット以降の大坂は、時折「サービスを打つのが怖い」とほどの緊張に襲われたと、後に苦笑いと共に明かします。その訳は、相手が2ndサービスを強烈に叩くようになってきたため。確かに、第1セットでは50%を記録していた2ndサービスのポイント獲得率が、第2セットでは31%に落ちていました。

 第3セットも大坂の最初のサービスゲームで、プリスコワはリターンで圧力を掛けてきます。それでも危機を粘り強く切り抜けると、直後のゲームを大坂がブレーク。終盤の第8ゲームでも、大坂は1stサービスが入らずブレークポイントを握られるも、窮地に陥るほど精度の高いサービスを叩き込み、「カモーン!!」の叫びと共にゴールラインへと肉薄しました。

 そうして迎えた、マッチポイント――。

「どうしても、セカンドサービスは打ちたくなかった」という大坂が、祈りと共に手にした勝利。それをもたらした要因は、「意志」の力だったと彼女は言いました。

 

 初優勝後のグランドスラムでは、多くの選手が苦しむもの。そのジンクスを打ち破り決勝へと這い上がってきた彼女の「意志」は、もう1つの勝利を渇望しています。

※テニス専門誌『スマッシュ』のFacebookより転載

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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