「米スマホ所有率若年83%、全成人でも58%」の衝撃
人々の日常生活を一変させた携帯電話、特にスマートフォンは世界各国で急速に普及が進んでいる。インターネット界隈では常に日本の先を行くアメリカで、先日同国の大手調査機関Pew Research Centerが、ウェブ25周年を記念した調査報告書「The Web at 25 in the U.S.」を発表、その中にスマートフォンの普及状況に関するデータも盛り込まれていた。
それによれば2014年1月時点でアメリカの成人(18歳以上)におけるスマートフォンの所有率は、全体で58%に達しているという。なお今調査は電話によるインタビュー形式で行われているため、回答者の選別時点でスマートフォン所有者が出やすくなる可能性がある振り分けがなされているわけではない。
これは携帯電話(一般携帯電話(フィーチャーフォン)+スマートフォン)所有者に占める比率では無く、調査対象母集団の各属性に占める比率であることに注意。例えば女性の項目は57%とあるので、アメリカの18歳以上の全女性のうち57%はスマートフォンを所有していることになる。
全体では58%と半数をすでに超え、6割に迫る勢いを示している。属性別に見ると、「若年層」「高学歴」「高年収」「人口密集地帯」ほど高い所有率となり、他のデジタル系アイテムの普及率・所有率と同じ傾向にあるのが分かる。
30歳未満では83%と5人に4人以上が所有していること、65歳以上でも2割に迫る値であることなど、アメリカではスマートフォンが「所有していて当たり前」のデジタルツールとなりつつある事実が確認できる。先日「「高一スマホ保有率84%」の衝撃」で解説した事例をはじめ、日本でも高校生に限れば7割から8割、場合によってはそれ以上の所有率が確認されている。しかし今件は高校生に限らず、18歳から29歳まですべて合わせた上で83%であり、極めて高い値に違いない。
ほんの数年前まではアメリカでも一般携帯電話が主流で、スマートフォンはまだこれからといった感が強かったが、いつの間に多数派を占めるようになったのか。以前「2013年は初めてスマホが普通の携帯以上に売れた年に」で解説の通り、「世界規模」では2013年が「一般携帯以上にスマートフォンが売れた」初めての年となった。今報告書の別項目のデータによれば「アメリカ」に限った上で販売数では無く「所有率」で見た場合、それより1年ほど前の2012年半ばには「スマートフォン所有者が携帯電話所有者全体の多数派」という状態に転じたことが確認されている。
2011年の時点ですでに携帯電話全体の1/3に達していたスマートフォンのシェア。それが3年足らずでほぼ2倍の2/3にまで伸びている。この数年でいかにスマートフォンが急速に浸透したかが分かる値ではある。
スマートフォンがさらに進化しようとも、需要は一定率存在するため、一般携帯電話が無くなることはない(タイトル写真を撮ったWalmartのサイトでも、今なお一般携帯電話も発売されている)。しかし日本同様アメリカでも携帯電話関連の店ではスマートフォンばかりが並び、新規購入・買い替え需要の受け皿としてスマートフォンが主流となっている以上、今後も所有率は漸増を続けていくことは間違いない。
「米スマホ所有率若年83%、全成人でも58%」は、普及率ではるかに及ばない日本においては、現時点では衝撃的事実に違いない。しかし数年のうちに日本でも、ごく普通の数字として受け止められるような状態になるだろう。
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