「高一スマホ保有率84%」の衝撃
「84%」は大げさな値では無い
先日総務省が発表した「青少年のインターネット・リテラシー指標など」では、2013年6月から7月にかけて高校一年生を対象に行った、インターネット関連の各調査結果が明らかにされている。その中でも目を留めたのは「スマートフォンの保有率」(厳密には「保有するインターネット接続機器」)が84%という値である。
調査期間、そして調査方法(インターネット経由に寄るものでは無い)を見るに、ほぼ高一全体の現状を示していると考えて良い。「保有」に関する詳しい定義の説明は無いため、「所有権・使用権合わせて本人保有」以外に「兄弟・家族との共用」「所有権は保護者にあるが、借り受けて使っている」などのパターンがありうるが、ともあれ「自分で保有している」と自称できるほどの頻度で使えるスマートフォンが手元にあることに違いは無い。
元々類似の他調査で、若年者の間にスマートフォンが急速に浸透していることは明らかにされていた。例えば内閣府がこの5月に発表した「青少年のインターネット利用環境に関する実態調査結果」では、2012年11月時点の値として(高校一年生に限定されず)、ほぼ100%の高校生が携帯電話を持ち、そのうち5割強がスマートフォンという結果が出ている。概算でも高校生全体の5割がスマートフォン持ちだった。
今件調査でも1年前同様調査の値が59%だったところを見ると、一連の値に大きな誤差は生じていないことが分かる。
この状況は、例えば30人編成の高一のクラスがあれば、そのうち25人がスマホ持ち、非保有者は5人に過ぎないことを意味する。
84%もの保有率となれば、例えば何らかの調査を行う場合、「スマートフォン経由」だったとしても、実質的に高校一年生全体に行った調査とさほどの違いは無いと考えても良くなる(無論、スマートフォンに特化した内容の場合は、精査の必要があるが)。また、例えばライフメディアのリサーチバンクが先日発表した調査結果では、10代のスマホ持ちのうち男性は76.5%・女性は88.0%が「LINE」を使っているという結果が出ているので、(10代女性は9割近く…「LINE」の利用率、スマホユーザーでは6割強)、「高校一年生全体の男子の2/3近く、女子の7割強は『LINE』を使っている」という概算も導き出せる。
「無免許の高校生が自動車を運転するようなもの」
今件はあくまでも一調査の結果であり、他の類似調査でもう少し低い値が出る可能性はある。しかし若年層への加速度的なスマートフォンの普及状況は疑うべくもなく、恐らくは似たような結果が他の調査でも出てくるものと思われる。また来年にもなれば、9割超をはじき出す調査結果も目にすることだろう。
8割超は実質的に「常用インフラ、ツール」と見なしても良い値ではある。それでは他の類似ツール、例えば電話や電車などのように、利用方法について十分な啓蒙、教練はなされているだろうか。しかもスマートフォンは使い方次第で、大人と同等の利用が出来てしまう(先日から続いている「炎上」騒ぎも、悪い例だが、一例ではある)。これはある意味、無免許の高校生が自動車の運転をしているようなものといえる。
今件値を提示している「青少年のインターネット・リテラシー指標など」でも繰り返し語られているが、若年層に対するインターネット周りの注意事項について、教育機関はもちろん、子供を取り巻くあらゆる環境で、早急な啓蒙・教示の仕組みを作り上げていくことが求められよう。
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