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2013年は初めてスマホが普通の携帯以上に売れた年に

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 普通の携帯を会話用に使い、スマートフォンで情報検索という使い方も

2013年通年でも販売数ではじめてスマートフォンが過半数に

ガートナー社では四半期単位で世界全体の携帯電話販売動向(利用台数では無い)を公開している。スマートフォンの普及に伴い、その販売シェアも拡大しているが、先日発表された2013年第4四半期(Q4)分では同年第2四半期から続き3四半期連続してシェアが50%を超えたことが確認された。さらに2013年通期でもシェアの過半数達成(53.6%)が確定した。これは通年でははじめてのことで、2013年は世界中で販売された携帯電話全体のうち、半分以上がスマートフォンとなった初めての年ということになる。

↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(各四半期毎)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(各四半期毎)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(年ベース)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(年ベース)

四半期ベースでは2013年Q2以降継続していたこともあるが、年ベースでは過去に無かった話。見方を変えれば2012年までは一般携帯が年間の携帯電話の過半数も販売されており、2013年通期でも販売総数の4割強が一般携帯ということになる。「一般携帯が未だに半分近くも売れている」という現実に驚きを覚える人もいるだろうが、新興国を中心に一般携帯電話の需要は今なお大きい。

しかしそれらの国でも確実に「一般携帯電話からスマートフォンへ」のシフトは起きている。詳しくは後述するが、2013年は新興国の需要がスマートフォンの販売を支えたと表現しても過言ではない。

iPhone 5s/cの販売でやや戻すiOSのシェア、進む2強の寡占化

次に示すのは、そのスマートフォンの販売台数における、OS別シェア動向。

↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数(OS別)(万台)
↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数(OS別)(万台)
↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数シェア(OS別)
↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数シェア(OS別)

ブランド力で安定のセールスを示すiPhoneシリーズが一定の値を維持する一方、Android端末が加速度的に台数を伸ばしている。これは多分に安価の、例えば100ドル未満で気軽に手に入る機種のセールスが底上げしている。そして、その多くは新興国で受け入れられている。

直近ではiPhone 5c/sの発売によりiOSがシェアをやや取り戻し、Androidは再びシェア7割台に戻ってしまった。しかし両者とも販売台数は確実に増加しており、両者合わせて四半期シェアは95.6%。前四半期の94.0%からさらに寡占化が進んでいる(このあおりを受け、BadaとSymbianはガートナー社の定期発表において、「その他」扱いされることとなってしまった)。

今年もスマホは売れるが廉価端末へのシフトも起きる

インフラやコスト高から新興国では敬遠されてきたスマートフォン。だが、この一、二年でインフラの整備が進むと共に、主にAndroid端末による廉価のスマートフォンが広まることで、「気軽なインターネットへの窓口」として大いに注目され、需要が伸びることとなった。

先進諸国でスマートフォンの普及が飽和に近い状態となったこともあり、今年は特に新興国での売り上げがスマートフォン全体を支えている結果が出ている。2013年第4四半期では、スマートフォンの売上においてインドが前年同期比で166.8%の増加率を示したのをはじめ、ラテンアメリカが96.1%増、中東、アフリカ、アジア・太平洋、東欧諸国でそれぞれ50%以上の増加を示している。また年ベースでは中国が86.3%の増加率を弾き出し、その人口の多さと合わせ、小さからぬインパクトを与えている。

現時点で(一人で複数契約の事例もあるが)、携帯電話全体(一般携帯電話とスマートフォンの合計)の契約数の上位国は中国とインド。それらの国々でも、少しずつ、そして確実に一般携帯からスマートフォンへのシフトが起きている。特に人口の多い国、中国やインド、インドネシアのような新興国におけるスマートフォンへのシフトは、今後も大きな影響を携帯電話、スマートフォン市場に与えることになる。

↑ 2012年時点の携帯電話契約者数上位国(※一人で複数契約の事例あり)(万人)
↑ 2012年時点の携帯電話契約者数上位国(※一人で複数契約の事例あり)(万人)

2014年も引き続きスマートフォンは売り上げを伸ばし、新興国の需要がけん引役となることは容易に想像が出来る。一方で新興国での販売が中心になるに従い、高価格端末では無く中程度~低価格の製品の需要が増すため、各企業も生産主体・販売戦略をそれらに合わせる形で再構築する必然性が生じる。

2014年はスマートフォンの販売台数そのものは伸び続けるものの、販売単価は減退し、売上総額は伸び方を縮めていくことになるだろう。

※一般携帯電話・スマートフォン間の販売シェア動向に関して、年ベースのグラフを追加しました。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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