Yahoo!ニュース

NY金2日:現物買い継続も、株高で反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比4.90ドル安

始値 1,213.80ドル

高値 1,223.00ドル

安値 1,204.20ドル

終値 1,208.20ドル

株価の堅調地合が嫌気され、小反落した。

アジアタイムは前週同様に現物筋の物色意欲が強く、上値追いの展開になった。特にパニック色は見られないものの、旧正月明けの中国勢や、輸入関税引き下げが見送られたインド勢などが、安値での買い付けを拡大させている。ただ、アジアタイム終了後は改めて戻り売り圧力が強まり、一気にマイナスサイドに沈んでいる。何か大きな材料が浮上した訳ではないが、米国株が再び過去最高値を更新するなど、リスクオンの地合が維持されていることが、「安全資産」としての金に対する投資需要を後退させている模様。もっとも、1,200ドルの節目を割り込むまでの勢いもなく、最近のレンジ内での調整圧力に留まっている。

引き続き現物市場からの物色意欲が強く、特にアジアタイムは下げ渋り易い相場環境になっている。上海黄金交易所の売買高などをみると、大規模な買い付けが行われている訳ではないが、ドル建て1,200ドル前後の価格水準に対しては物色妙味を感じている向きが多い模様。ただ、ここから金市場に対して投機マネーの再流入を促すようなテーマが存在する訳でもなく、底固いものの伸び悩む相場展開になっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測が後退しているとは言え、米金融政策が改めて緩和色を強めるような環境にはない。フィッシャーFRB議長も、利上げ時期は6月か9月の可能性が最も高いと述べており、米経済環境に何か大きな変化が見られないのであれば、利上げ着手の時期が近づいていることは間違いない。

今後も各種指標に大きな下振れが見られないのであれば、ドル相場の堅調地合が金相場の上値を圧迫するフローは維持される見通し。依然としてドル相場やCRB商品指数などとの比較では割高感が残る価格水準であり、現物買いを消化しながら戻り売り優勢の地合が続くとみている。

画像
マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

小菅努の最近の記事