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リオ五輪 暑さのピークと競技への影響は?

三ヶ尻知子気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
(写真:アフロ)

史上初めて南米大陸での開幕となったリオオリンピック。日本との時差は12時間です。

東京とどっちが暑い?

世界最大のアマゾン熱帯雨林があり、一年中暑いイメージがあるブラジルですが…でも開催地のリオデジャネイロは、赤道からやや離れた南緯23度にあるギリギリ熱帯なので赤道直下と違って一年中暑いわけではありません。南半球なので季節は一応冬です。4年後オリンピックが開催される東京と気温を比べると…

最高気温の過去30年平年値 (リオのデータはWMO参考)画像はTBSニュースバード作成
最高気温の過去30年平年値 (リオのデータはWMO参考)画像はTBSニュースバード作成

5月までは、リオより東京の方が気温が低いものの、6月から9月は逆転。東京の方が気温が高くなります。オリンピック期間の8月の平年の最高気温は、リオが25.6度に対し、東京はご存知の通り30度越えが当たり前の時期です。また、8月の平年の降水量を比べると、リオが50.5ミリなのに対し、東京は168.2ミリ。リオは、8月が一年で最も雨の少ない乾期にあたり、晴れる日が多いのも特徴です。オリンピック開催地を天気の面からみると、この時期、リオは東京よりスポーツのしやすい天候と言えそうです。

リオの天気の特徴は、気温のアップダウンが激しい

ただ、これは平年のデータですから、日々の天気を細かく見ると、リオの8月は気温差が非常に大きいのが特徴。ここ1ヶ月の実際の気温を調べると、最高気温が35度以上になる日もあれば20度以下になる日も。また、一日の中でも朝晩と昼の気温差が15度以上ある日が少なくありません。日本でいうと、気温差が大きい春や秋の季節のイメージでしょうか。これはなぜかというと、この時期のリオは北風と南風が入り乱れる季節だからです。南半球では、北風=暖気、南風=寒気になりますが、高気圧の位置によって風向きが変わり、暖気と寒気の入れ替わりが激しくなります。

オリンピック前半 暑さのピークはこの土日

冬と言っても、やっぱり熱帯。暑い時は暑い!リオですが、開催中の暑さのピークは、現地時間8月6日(土)、7日(土)になりそうです。高気圧に覆われ晴れて、北西の乾いた熱風が流れ込むためで、昼間の最高気温は33度前後の予想。運動中は熱中症の危険性がある暑さで、ブラジルの気象庁も危険な気象状況ということで注意を呼び掛けています。開会式直前は涼しいという現地リポートが目立ちましたが、この土日はこれまでよりかなり暑い日中に。ただ、来週は南風(涼風)に変わり、気温が低下。最高気温でも25度以下の日が多くなりそうです。

気温の変化が大きいということで、選手も体調管理がより重要になりそうです。

リオデジャネイロ市の天気予報(ALERTARIOのHPより)
リオデジャネイロ市の天気予報(ALERTARIOのHPより)

暑さのピークにあたる6日、7日の天気が関係する日本参加競技は、テニス、女子ホッケー、女子ラグビーなど

◇テニス

現地時間6日10時45分(日本時間6日22時45分)から、テニスの初戦は錦織選手の初戦でスタート。晴れて30度以上の厳しい暑さの中での試合が予想されますが、ただ、酷暑で知られる全豪オープンの40度越えを3時間以上戦って勝利したこともある錦織選手ですから、96年ぶりのテニスのメダルに期待!

◇女子ラグビー(7人制)1次リーグ

現地時間6日12時半(日本時間7日0時半)日本対カナダ

現地時間6日17時 (日本時間7日5時) 日本対英国 

現地時間7日12時 (日本時間8日0時) 日本対ブラジル

92年ぶりに復活したラグビーですが、女子の1次リーグがある2日間は、暑さピークの中で、1日に2試合もあるため、試合と試合の間にどれだけ回復できるかがポイントになるかもしれません。

◇女子ホッケー  1次リーグ

現地時間7日11時(日本時間7日23時) 日本対インド

女子ホッケーは、通常、ボールの回転をよくするためグラウンドに水を撒いて試合をする競技ですが、雨がたくさん降ると、今度はボールが転がらなくなるので、雨が降るかどうかがポイントになります。7日は晴れて雨は降らない予想なので、雨の影響はなさそうです。

4年後の東京オリンピックは、猛暑、雷雨、そして台風の可能性など、天気が大きな影響を及ぼすかもと心配になりつつ…

今は、リオオリンピックを寝不足覚悟で応援したいと思います。

リオデジャネイロ市の天気予報http://alertario.rio.rj.gov.br/

ブラジル気象庁http://www.inmet.gov.br/portal/

(修正 リオの予報を最新画像に差し替え)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1996年に気象予報士の資格取得。大分県出身。日本テレビ、NHKを経て、現在は、TBSテレビ気象キャスター。南国から雪国まで住んだ経験を活かし、主婦目線、母目線で天気を解説。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など

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