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"KING"レブロンの笑顔

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
NBA唯一無二のKING、レブロン(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地時間5月7日、ロスアンジェルス・レイカーズが127ー97でゴールデンステイト・ウォリアーズを下し、プレイオフ西地区セミファイナルを2勝1敗とした。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 レイカーズのエース、そして今日のNBAにおいて唯一無二の男である"KING"レブロン・ジェームズは、21得点8アシスト8リバウンドで勝利に貢献した。この時KINGは、私生活でも幸福を感じていた。Spectrum SportsNetに「人生で最高の日の一つだ」と語っている。

KINGと息子のブロニー
KINGと息子のブロニー写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 その日、レブロンの長男であるブロニー・ジェームズが、今夏から南カリフォルニア大学に入学することが発表されたのだ。無論、バスケットボールチームの一員となる。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ジェームズは、試合後の記者会見で左手にマイクを持ち、話した。

 「息子の新たな旅立ち、そして素晴らしい大学を選択したことを祝福したい。彼を本当に誇りに思う。信じられないことだよ。私の曾祖母や曾祖父、あるいは私の時代よりずっと前から、ジェームズ家で大学に進学したのは彼が初めてだ。

 御存知のように、彼の父(レブロンのこと)は、学校に行ってない。母親(サバンナ)も大学には行かなかった。私の母(グロリア)は、コミュニティ・カレッジか何かで少しキャンパス生活を味わったかもしれないが、私が走り回っていたので、教室で多くの時間を費やすことが出来なかった。とても、とても、とても、とても心が躍り、私たち家族にとって実に素晴らしいことだ。同時に、この事実を謙虚に受け止めたい」

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ブロニーと南カリフォルニア大バスケットボール部コーチのアンディ・エンフェルドも、クリプトドットコム・アリーナで行われたレイカーズvs.ウォリアーズ戦の客席に座っていた。

 レブロンは続けた。

 「息子と一緒にプレーしたい気持ちは変わらないが、まずは自分の体と心が正しい状態でなければ、それは果たせない。ブロニーの希望に沿うようにしたい。私は真剣だったし、今も真剣だ。ただ私の願望といっても、彼の希求とは限らない。自分が何をしたいかではない。大切なのは子供が何を望んでいるのかに、耳を傾けることだ」

写真:REX/アフロ

 KINGの言葉を耳にし、私は2008年11月4日を思い出した。黒人初のアメリカ合衆国大統領が誕生したニュースを、レブロンは自宅で目にしていた。大統領選を制してから1時間もしないうちに、第44代の座を得たバラク・オバマは、自身が暮らすシカゴで勝利演説を行った。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 この時、レブロンはクリーブランド・キャバリアーズに属していたが「歴史的瞬間を目に焼き付けろ」と、息子を起こしてソファで肩を並べてTV画面を見詰めていたのだ。KINGはアスリートとしてのみならず、父親としても超一流なのだな、と感じたものだ。

 今日はプレイオフ西地区セミファイナル第4戦だ。KINGの活躍に期待したい。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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