ノロノロ台風10号 予想の決め手は転向点
小笠原近海で停滞している台風10号。今後も動きはゆっくりで、来週の水曜日(14日)以降、西日本から東日本に近づく予想だ。台風を流す風が弱く、転向点の見定めが予想のカギを握る。
移動距離はわずか100キロ
台風10号が発生して、3日が経過しました。その間に移動した距離はわずか100キロです。8日(木)以降は小笠原近海で停滞したままの状態が続いています。
台風は一般に、偏東風→太平洋高気圧の縁辺流→偏西風と、風を乗り換えながら日本列島に近づきます。台風シーズン中盤の8月は台風を流す風が弱く、しばしばこのように台風の動きが止まることがあります。
台風を取り巻く風の流れ
こちらは上空約9,500メートル付近を流れる風の様子を示した図です。左上は9日(金)、右下は13日(火)の予想です。
小笠原近海で、渦を巻いているのが台風10号、そして那覇の左にある渦巻きは台風9号です。台風10号周辺の風は弱いことがわかります。その後はどうなるのでしょう?
13日(火)には台風10号に相当する渦巻きが日本の南に予想されています。しかし、依然として台風を取り巻く風は弱く、強い西風(偏西風)は中国北部から北海道付近を流れる見通しです。少し専門的にみれば、気圧の尾根(偏西風が北に盛り上がる流れ)が中国東北区で明瞭となり、日本の北で(地上)高気圧が強まることを示しています。
カギを握る転向点
このような状況では台風の転向点(台風の進行方向が北西から北東に変わる場所のこと)を見定めるのが難しい。台風予報のすべてはこの転向点にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
また、これまでの予報円をみると、北緯30度より北へ伸びていないことから、台風の北上スピードが遅くなっていることもわかります。
5日先予報円は半分に
台風10号の行き先がまったく定まっていないのか、というとそうでもありません。
こちらは台風が発生してからの5日先予報円の大きさを見たものです。発生当初は半径600キロありましたが、9日には約3分の2の大きさ、370キロまで小さくなりました。
予報円の大きさは予想の不確実さを示すものですから、小さくなればなるほど、台風の予想が定まってきたことを表します。
お盆休みと重なり、台風10号の動向に気をもんでいる方も多いでしょう。台風10号の予想が定まるにはなお時間がかかりそう。週明けになるかもしれません。