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今、スマホに求められる機能は「自撮り」、だからこそ超広角を?

森井昌克神戸大学 名誉教授
スマートフォンカメラ

国産スマホがますます窮地に立っています。国内での米アップルのiPhoneが圧倒的人気で有り、その次に着いているのが、韓国サムソンの製品群です。ドコモだ、au(KDDI)だ、ソフトバンクだといっても、使っているスマホ本体はほとんど海外製品で、国内製品は少数になってしまいました。一時はそのシェアも少なくなく、富士通、NEC、シャープ、ソニー等、ほとんどの家電メーカが開発、製品化して市場に出していたのです。今では見る影もなくなりました。

日本メーカーが手掛けるスマートフォンが、お膝元の国内市場で海外勢に押されて苦戦している。2014年の国内シェア(出荷台数ベース)は「iPhone(アイフォーン)」が人気の米アップルが58.7%と圧倒的に強く、4.7%の韓国サムスン電子と合わせると6割強を海外勢が占める。国内勢の存在感は年々薄れており、13年に4位だった富士通はベスト5にも入らなかった。高機能の端末を低価格で販売する中国勢も日本への本格参入を虎視眈々(たんたん)と狙っており、国産スマホはさらなる窮地に立たされそうだ。

出典:存在感薄い国産スマホ、総撤退の危機 iPhoneだらけの日本はいま…【SankeiBiz】

国内メーカが最も顕著ですが、海外メーカも安閑としてはいられません。まだシェアは少なくないとはいえ、韓国メーカも凋落の傾向にあり、台湾、中国メーカの躍進を許しています。消費者(ユーザ)が求める機能、さらに進んで消費者を虜にする機能が求められています。その一つが「自撮り」支援機能です。

スマートフォンメーカー各社が、「自分撮り」の機能強化でしのぎを削っている。ディスプレーで確認しながら自らを撮影し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や動画投稿サイトに投稿する利用者が増えているためだ。各社は、ディスプレー側にある前面カメラの精度を高めたり、手の動きを認識してシャッターを切る独自機能を搭載したりして顧客の取り込みを図る。

出典:スマホ:「自分撮り」機能競うメーカー SNS普及で【毎日新聞】

自撮り棒の普及や、逆にその規制もあって自撮りの需要の高さがやっと認識されたのでしょう。専用のデジタルカメラでは、その機能の差別化や豊富さもあって、既に各種の自撮り支援機能が搭載されています。残念ながらそれを超えるような機能、スマホゆえの差別化した機能が見られません。スマホカメラの最大の利点で有り、必須事項はすぐに、そして簡単に撮れるということです。当然ですが、自撮り棒の普及はその機能がスマホのカメラに搭載されていないからであり、あのような荷物にもなり、また御世辞にもスマートでない「棒」が流行る理由は、その機能が強く望まれているからなのです。その機能とは画角が広く撮れることなのです。たとえば、ソニーモバイルの最新機種、Xperia Z4では、フロントカメラでは510万画素という高画質に加え、25mmの広角レンズを採用しています。かなり画角が広くなりますが、複数の人間を入れての、腕を伸ばしての自撮りは無理でしょう。さらに単焦点の広角レンズを用いることで実現可能になるはずです。極端には魚眼レンズの画像をデジタル補正すれば、現在の高精細カメラであれば十分きれいな画像となることでしょう。スマホで物理的に焦点を切りかえることは難しいでしょうが、画像処理的に焦点を切りかえることは可能ではないでしょうか。

神戸大学 名誉教授

1989年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程通信工学専攻修了、工学博士。同年、京都工繊大助手、愛媛大助教授を経て、1995年徳島大工学部教授、2005年神戸大学大学院工学研究科教授(~2024年)。近畿大学情報学研究所サイバーセキュリティ部門部門長、客員教授。情報セキュリティ大学院大学客員教授。情報通信工学、特にサイバーセキュリティ、情報理論、暗号理論等の研究、教育に従事。内閣府等各種政府系委員会の座長、委員を歴任。2018年情報化促進貢献個人表彰経済産業大臣賞受賞。 2019年総務省情報通信功績賞受賞。2020年情報セキュリティ文化賞受賞。2024年総務大臣表彰。電子情報通信学会フェロー。

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