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yzf-r7が他のスーパースポーツとは全く違う理由とは?

相京雅行下町のバイクパーツメーカー/ディレクター

MT-07ベースのスーパースポーツバイクYZF-R7が発売されました。

今までスーパースポーツバイクがベースとなったストリートファイターが発売するケースはありましたが、逆バージョンは聞いたことがありません。

そもそもストリートファイターというジャンルは、スーパースポーツバイクのカウルを全部剥いで、バーハンドル化したカスタムモデルと言われることもあります。

ではストリートを走るバイクをスーパースポーツに仕立てたモデルと0からスーパースポーツに設計されたモデルはどのように違うんでしょうか?

スーパースポーツは快適性じゃなく走行性能に全振りしている

スーパースポーツモデルは公道を走ることもできますが、サーキットでラップタイムを叩き出すための設計が採用されています。

そのためフレームやスイングアームは軽量なアルミ製を採用し、最近ではバッテリーもリチウムイオンバッテリーを採用することも。

パワーもとにかく絞り出しています。例えばyzf-r7は73psですが、CBR600RRは121ps。

これだけパワーを絞り出せば発生する熱量は半端じゃなく、熱伝導率の高いアルミをフレームにしているので、暖かい時期はライダーが対策をしないと火傷や熱中症になることも。

エンジンがシビアなのでガソリンはもちろんハイオク指定なのは言うまでもありません。

シートも薄く硬いので慣れていない人は早くお尻が痛くなります。

空気抵抗を減らすためにフルカウルが装着されているのはもちろんですが、ハンドル位置は低く設定され、バンク角を稼ぐためにステップ位置は高くなるのでポジションは窮屈になります。

サーキットの路面は凹凸があるわけではないので、基本的にサスペンションもガチガチにセッティングされていることが多いです。

ネイキッドバイクベースのスーパースポーツの場合

ストリートを走るバイクの場合には過度な軽量化はしていません。バイクは軽く作ろうと思えば素材や設計の面でコストが上がってしまうからです。

フレームやスイングアームはスチール製が採用されます。アルミに比べれば重いですが、コストが抑えられます。

ストリートを走る剛性しか確保していないため、スピードが出るサーキット走行を考えれば補強が必要になります。

YZF-R7もアルミ製パーツの補強が加えられています。

パワーはストリートで快適に走るために最適化され、極端な高回転型になっていないので、低速から扱いやすく発熱量も少なめです。

もちろんガソリンはレギュラーでOK。

スチール製フレームもアルミに比べて熱伝導率が低いので、真夏以外はライダーに対策を求めることもありません。

MT-07のシートをそのまま使っているので、ツーリングに出かけてもお尻の痛みは少なめ。

サスペンションは前後共にしっかりストロークするので凸凹のある一般道でも快適です。

なおポジションは一般的なスーパースポーツと一緒。

何も犠牲にしないスーパースポーツ

ほぼ箇条書きで説明しましたが、これを見て走りはしょぼいのかな?と思うのは早計です。

そもそもベースモデルのMT-07は公道で走るなら充分快適で楽しいバイクです。

一般的なスーパースポーツバイクが走りのために快適性を犠牲にしているバイクなら、yzf-r7は何も犠牲にしていないスーパースポーツなのです。

大きな代償なしに大きな力を得ることはできませんが、ステージを公道に限るならバランスされているモデルの方が乗りやすいのは間違いありません。

価格も税抜き100万円を切っているので、お財布に優しいのもポイント高いですね。

下町のバイクパーツメーカー/ディレクター

下町の小さいバイクパーツメーカーで番頭を務めています。面白い事には大抵首を突っ込みます。ワークマンでアンバサダーをやっていたり、オールアバウトでバイクガイドを担当していたりします。

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