北朝鮮の対露武器支援は砲弾から戦術ミサイルへ拡大?北朝鮮のキーマンも訪露!
供与する側の北朝鮮も受け取る側のロシアも武器取引を否定する最中に崔善姫(チェ・ソンヒ)外相が1月14日から訪露し、モスクワでラブロフ外相と会談し、続いてクレムリン宮殿を訪れ、プーチン大統領に面談し、露朝外相会談の結果について報告していた。
西側メディアの報道では、プーチン大統領が外国の外相に接見するのは異例で、昨年9月に訪露した王毅共産党政治局員兼外相に会って以来だ。公開された映像を見ると、プーチン大統領は満面に笑みを浮かべて、崔外相と10秒ほど長い握手を交わしていた。
崔外相は昨年9月の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の訪露に随行しているが、単独での外国訪問は2022年6月の外相昇格後、初めてとなる。昨年10月に訪朝したラブロフ外相の招きによるものでこれにより2度目の露朝外相会談が実現した。
露朝外相会談の詳細は不明だが、報道によると、ラブロフ外相は対ウクライナ特別軍事作戦への北朝鮮の支援に謝意を述べ、露朝協力が緊密に進展していることに満足の意を表明し、一方崔外相は「露朝首脳会談での合意をに履行するためあらゆる努力をする用意がある」ことを表明したようだ。
米韓両国は崔外相の訪ロを機に露朝関係が一層緊密になるのを警戒しているが、注目すべきは外交関係よりも軍事分野での両国の協力関係である。というのも、崔外相の訪ロに党序列では格上の趙春龍(チョ・チュンリョン)党軍需工業部部長が同行し、外相会談では崔外相の右隣に座っていたことだ。
崔外相も趙部長も昨年までは同格の政治局員候補だったが、趙部長は昨年12月末に開かれた党中央委員会第8期第9次全員会議(総会)でワンランク上の政治局員の肩書を与えられ、同時に金正恩総書記を含め8人しかいない党書記にも起用されている。
一昨年6月に副部長から部長に昇進した趙部長は崔外相同様に昨年9月の金正恩訪露にも同行しているが、注目すべきは今回、訪露を前に金総書記の一連の軍需工業視察に随行していることだ。
北朝鮮の国営通信「朝鮮中央通信」によると、金総書記は1月4日、8日、9日と軍需工業を立て続けに訪れているが、趙部長はすべてに同行していた。4日は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射台車と各種の軍用台車を生産する工場だったが、8日と9日の視察は北朝鮮が2022年4月17日と2023年3月10日に労働新聞を通じて試験と訓練写真を公開した新型戦術誘導ミサイル及び移動式発射台生産工場である。今まさに、北朝鮮からロシアへの「密輸」が噂されているミサイルである。
ロシアと北朝鮮がいかに否認しても軍需産業の責任者が今回、訪露したことは弾薬や砲弾に留まらずミサイルなどの武器支援が当然、露朝会談の議題に上がったものと推測される。また、ラバロフ外相が北朝鮮の対露支援を高く評価したということは当然、取引が成立したものと推測される。
崔外相一行が訪露した翌日の15日、金総書記は最高人民会議に出席し「米国の極悪な自主権侵害行為を絶対に許さない」と述べ、「国際規模での反帝共同行動、共同闘争を果敢に展開し、自主と正義を志向する全ての国、民族と思想と体制の差を超越して団結し、協力していく」と演説していた。