武蔵新城のシェアアトリエ『CHILL』で感じた水彩画アーティスト・U-ku(ゆーく)さんの魅力とは
JR武蔵新城の駅から徒歩3分。住宅街の中にある『CHILL(チル)』は、食とアートが楽しめる複合施設だ。
1Fは駐車場、2Fはアーティストのシェアアトリエスペース、3Fにはカフェ。
元はサウナ施設だった場所をコンバージョンしたようで、店内のいたるところにその名残がみられるのが面白い。
複数のアーティストが作品制作をされている「シェアアトリエ」で作品制作をされていた、水彩画アーティストのU-ku(ゆーく)さんに、お話を聞くことができた。
学生の頃から絵を描くのは好きだったけれど、仕事にするつもりはなかったと言うU-ku(ゆーく)さん。
5年前、会社員として働いていた彼女は、見知った仲だったギャラリーカフェのオーナーから
「描くのが好きなら、個展を開いてみない」と声をかけられ、アーティストとしては無名のまま個展を開くことになった。
個展を開くことが作家活動の始まりであるという経歴は、なかなかに珍しい。
そこから本格的に作品づくりに取り組み始め、現在では東京だけでなく沖縄など、全国各地で個展を開き精力的に活動している。また、2021年の3月15日からは、銀座「中和ギャラリー」にて個展が開催される。
水彩絵の具を使用した抽象画の中心あたりに、よく見ると馬の姿がある。
見ていると安らかな気持ちになるような、それでいて切ない気持ちにもなるような……。
他の絵を見ても、同じ画材を使っているのに、色やキャンバスの大きさによって受ける印象が違う。
それでいてどの作品にも、どこか人間らしくて優しい「情」が感じられる気がする。
「偶然性を大切にしています。最初から構図を決め込むことはなく、その日の体調や心情が大いに反映されるので、自分にも最後の一筆まで完成形が分かりません。
キャンバスを見つめているうちに『ここに人が、馬が、生き物がいるかもしれない』というのが見えてきて、描いていく感じです。
そもそも水彩絵の具自体、コントロールが難しい画材。
その時のキャンバスの状態や水分量で、色味や印象がかんたんに変わってしまうんです」
「絵のなかの生き物の顔は、あえて書かないようにしています。
表情があると、それだけで作品への印象が決まってしまう。
絵を見てくださった方の心情に寄り添う作品であれたらいいなといつも思います。
悲しい時に見たら切ない、穏やかな気持ちの時に見たら落ち着く……そんな風に、それぞれの感じかたで絵を見てもらえたら、それが一番嬉しいです」
「絵が仕事になるなんて、思ってもみませんでした。たくさんの偶然とご縁がつながって、今の私があって……。もう、本当に、感謝しかありません。
だからこそ、私の作品には「これがアートだ!」という強い自己主張がないのかも」
そう笑うU-ku(ゆーく)さん。
『感じたことをキャンバスに描いて、見た人が何かを感じる』。そんな、絵を通じた人と人との繋がりを大切にしているU-ku(ゆーく)さんだからこそ、ひとつひとつの作品に人間的な温かさ、優しさが滲み出ているのだろう。
「先のことは分からないですから。毎日起こる『偶然』を拾いあげて、これからもキャンバスに描いていけたらと思います」
そんなU-ku(ゆーく)さんの個展の詳細はこちら。
【個展】「ピント」
開催日時:2021.3.15(mon) - 3.20(sat) 12:00 - 19:00(最終日は17:00まで)
会 場:中和ギャラリー
〒104-0061 東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル3F
(銀座駅C3出口から徒歩2分)
【カフェ&アトリエ】「CHILL」