NY原油10日:イラン情勢の先行き不透明感で続伸
NYMEX原油5月限 前日比0.85ドル高
始値 50.73ドル
高値 51.93ドル
安値 50.08ドル
終値 51.64ドル
前日に続いてイラン核協議の先行き不透明感が警戒され、続伸した。
アジア・欧州タイムはやや戻り売り優勢の展開になったが、ニューヨークタイム入り後にプラスサイドに切り返した。イランと欧米6カ国はイランの核開発問題について枠組合意しているが、合意文書への署名を前にイラン側が経済制裁解除を求める圧力を強めていることが、不安視されている。イラン側は合意実行に着手するまでに全ての経済制裁を解除することを求めているが、欧米側はイランの対応を確認しながらの段階的な制裁解除を志向しており、合意まで混乱が続くリスクが警戒されている。もっとも、イランの地政学的リスクを大きく織り込んでいた相場でもないため、積極的に上値を試すような動きまではみられない。週末を控えてややショートカバー(買い戻し)が優勢になったが、最近のレンジ内での値動きに留まっている。
米ベーカー・ヒューズ社が発表した米石油リグ稼動数(4月10日時点)は、前週比-42基の760基と大きく落ち込んだが、マーケットの反応は限定的。シェールオイルの増産ブレーキが掛かる時期は着実に近づいているが、実際の米エネルギー情報局(EIA)統計などを見極めたいとの慎重ムードが強い。
50ドルの節目を挟んで不安定な値動きが続いているが、米国で在庫の貯蔵能力限界を試すトレンドが続いてる間は、反発力が限定されよう。ただ、米国内のシェールオイル増産傾向が緩んでいることも事実であり、将来的な需給均衡化を先取りする動きが強まるリスクには注意したい。需給面からは依然として安値低迷が必要なステージとみているが、相場が先走りするリスクが浮上している。